他県からフェリーとバスを乗り継いでお客さんがやってきた。
私よりひとまわり以上も歳若い彼は、山間部に住んでいて実家は山林を所有しており、やはり手入れ不足で荒れているのだそうだ。
いずれそこに小屋を建て、火を焚きたいというが、田舎では変わったことをするとマズイという人間関係があるそうで、西日本の山も大変である。
周りの人たちは山は放置だが草の駆除には熱心で、ホームセンターに山積みになっている例の除草剤を使いまくっているという。
ここ数年、アマガエルが見事に消えてしまったそうだが、それはイネ用の新型除草剤が原因ではないか? と彼はいう。
私の林業本もよく読まれていて、「日本の気候風土が諸外国とちがうというのは、林学の学問として根本的な最も重要なスタート地点と思うのですが、それを他の人がなぜいままで言ってこなかったのでしょうか?」というようなことを言ってくれた。
放射能の話も出た。
この手の話は人の顔をうかがいながら、慎重に切り出さないといけないのだが、田舎では全くといっていいほど気にしていないという。
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囲炉裏暖炉でそんな話を交わしながら、木の燃える原理を実演して見せた。
まず燃えている薪を灰にかけて炎を消してしまう。
すると燃えさしから煙がもくもくと出る。
その木を再び組み直して、火吹き竹を使って炎を蘇らせる。
日常、薪火を使ったことがない人は、炎が大きく再生した瞬間に
「おお~っ」と驚く。
私のやっている自然と暮らしとの関わりはとても重要なことで、海外でも本が出るくらいだから地球規模で求められていることなのだろう。しかし、若い人たちに触れる機会はとても少ない。
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「また機会を作ってください」と、彼はバスで帰っていった。
せっかく遠くから来てくれたのに、ちょっと話し込み過ぎたね。
山小屋と薪火暮らしの成功、応援してます!