ビングシを食べる


吉野川沿いから山越えで高松に帰る。瀬戸内海に小島が浮かぶ。讃岐は穏やかである。

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ミカンの花が満開中。地味なので他県から来たひとはそうと気づきません。

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午後から東京の編集者と打ち合わせ。夜は高松の魚を食べに行く。瀬戸内の地魚を焼いてくれる店だ。これはビングシといい、標準和名はセトダイと呼ばれる。意外に風味がよくて驚いた。「タイ」と付いているがイサキの仲間だ。これは刺身や煮魚にしてもきっと美味しいだろう。

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そういえば先日スーパーで「タモリ」という名で売られていたのを思い出した。図鑑によれば「まとまった数がとれないのと、一般になじみが少なく味の割りに値段が安いので、市場に出すより、漁家のおかずなることが多い」そうだ。

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地の物が美味しいということは重要なことで、裏返すと昨今の「B級グルメ」の隆盛(これは町おこしが仕掛けている)は土地本来の恵みや食文化の疲弊を物語っている。そのうち天然の海産物や山菜は放射能汚染で食べれなくなり、工場やプールで純粋養殖されたものが高級という時代が来てしまうかもしれない。

今回の旅で、高知で釣りをしている元気そうな少年たちに出会ったので、嬉しくなって声をかけてみたら、狙っている獲物はブラックバスだという。まあ、それでも良い方なのだ。讃岐では釣りの少年を見かけることが滅多にないのだから。そして小ぎれいなアーケードにガラス建築が煌めいている。


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