枝薪を燃す愉しみ


開期中に来てくれたお客様で、なんと薪を持ってきてくれた方が、2組いらっしゃった。

お一人は山に伐ったばかりのサクラが放ってあるというので、私が後で取りに行くと言ったのだが、なんと~翌日軽トラに満載して持って来てくれた。

それはまだ切り口から水がしたたるようなヤマザクラで、もちろん乾燥させねば使えないのだが、腐りもなく燃やすには惜しいほどの太枝ばかりだった。

なので、少しとりわけておき、虫が来ないように彫刻や皮付き額材用に保管しようかと思っている。

もうひと方はすでに乾燥済みの薪を持ってきてくれた。今日はその木を燃やしてみた。材は柿の木だったが、爆ぜることもなく、実にいい感じで柔らかな炎が立った。

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そこに雑木林で拾ったり伐ったりしてきた木を足した。

スカスカの枯れ枝はくすぶることなくよく燃える。かといって、あっという間に燃え尽きる、という感じでもない。じわじわとやわらかな炎で、ずいぶん楽しませてもらえるのは意外である。

いま手元にある薪のうち最も重くて硬いのは、ネズの枯れ立ち木である。ヒノキ科ビャクシン属の針葉樹で、遠くからみると西洋の糸杉のようでもあり、日本大百科全書には、

「瀬戸内地方には野生が多い。庭木や盆栽にする。材は木目が緻密(ちみつ)で堅く光沢があり、建築、土木、器具、彫刻などに利用する」

とある。ネズの薪はときおりパチパチと音を立てて爆ぜる。が、破片を飛ばすほどの危険はない。だから、小口ではなく腹から炎に当てたほうが燃えやすい。燃え方は遅く、炎は小さい。他の木が燃え尽きても、ネズは最後まで残っている。

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囲炉裏は燃やす薪の木の特製をじっくり観察することができる。

それぞれ薪にはここに来るまでの苦労があり思い出がある。そんなことを思い出しながら燃やす愉しみがある。

燠ができたのでサワラの塩麹漬けを焼く。

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付け合わせは塩揉みしたタマネギスライスに刻みショウガを混ぜ、柿酢で和えたもの。そして地レモン。酒は金陵の吟醸。

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こんな夜は天井のダウンライトをめいっぱい絞って暗くし、自作のフロアーライトを灯すのがいい。

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これからがまた、囲炉裏暖炉にいい季節でなのある♫


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