2011の台風12号で大崩壊した紀伊半島へ山林調査へ行ってきた。最初は那智の予定だったが、途中の古座川近くでちょっと山に入ってみた。
ピンのあたりである。
山々の外観はこんな感じ。一見緑緑しているけど、超過密な荒廃人工林なのだ。
スギ林の道際はわずかにシダなどが生えている。
樹高はどのくらいあるのだろうか。典型的な線香林である。
根倒れした木を見つけたので、巻き尺で正確な樹高を測ってみる。
胸高直径も計測。
結果は・・・
樹高/23m 胸高直径/26cm
形状比(樹高÷胸高直径)88
生き枝高/16.4m
次いで、半径4m内の本数を調べてみると13本もある。200倍すると1haの本数になる。2600本だ(!)
このときの中心木の胸高直径は26.5cmだった。
鋸谷式間伐の早見表でいくとこの胸高直径で半径4m内に残す本数は4.2本。なんと8~9本伐る必要があるわけだ。
いくつか直径を測ってみたが小は17cm、大は34cmといった感じで、平均は25~6cmのようである。樹齢は解らない。最近間伐した切り株でもあれば年輪を数えるのだが。
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樹間を測ってみたら1.3mだ。本州の平均的な植え方はha当たり3000本で、これをグリッドに換算すると1.8m間隔植えということになる。では1.3m間隔だといったいha当たり何本になるのか? というと、6000本になる。
根倒れした木の根っこは石を抱かえているがその樹高に対してごく小さい。しかも直根がない。
鋸谷式間伐では「限界成立本数」と「樹冠占有率」という概念から間伐密度を導いている。
「眼界成立本数」という考え方 :木は常に成長し続ける。植林した木は枝を張り、背を伸ばして幹を太らせる。間伐を怠れば、四方の枝が触れ合い成長が阻まれる。やがて枯死するものもでてくる。しかし大きく間伐したとしても、いずれは成長して樹冠が密閉し、同じように成長が減衰する。
興味深い数値がある。1haの広さの中で、成長の限界に達した森林を、人の胸の高さで全部伐ったとする。その断面積(これを胸高断面積という)をすべて合計する。この数値は、生育条件で多少の誤差はあるものの、どんな森林でも合計が80m2くらいだという。
最高でも100m2を超えること滅多になく、わずかに四国高知県馬路村の魚梁瀬スギ天然林のごく1部がこれに該当するそうだ。10,000 m2のうちの80m2 であるから、面積比でいうと木の断面合計はわずか1/100にも満たない数値である。(web版 鋸谷式 新・間伐マニュアル)
ところが、ここ古座川の流域のこの地点では、平均直径25cmの胸高断面積合計は127.6㎡もあるのだ(0.125×0.125×π×2600=127.6㎡)。魚梁瀬よりも多い・・・。
続く。