72番曼荼羅寺から73番出釈迦寺(しゅっしゃかじ) までは歩いても10分ほどの距離だ。
我拝師山が近づいてくる。
真魚と呼ばれた空海が7歳の時に我拝師山に登り
「私は仏門に入り仏の教えを広めて多くの人を救いたい。私の願いが叶うなら釈迦如来様、お姿を現して下さい。もし、願いが叶わないのなら私の命を仏に捧げます」
と、断崖から身を投げた。すると釈迦如来と天女が現れて彼を抱きとめ、願いを示された大師は青年になって虚空蔵菩薩像を刻んで御堂を建てた。真魚が身を投じた場所は、さらに100mほど登った場所にある。
ちょうど一年前、そこまで登ってみたことがある(建物までは有料で車で登ることができ、そこからは岩尾根の登山コースになる)。赤茶色の花崗岩の岩山で、背の低いツツジや、ハゼノキなどが生えていて、センダンの花が印象的だった。その夕刻、高松に戻り初めてビヤガーデンに行った。飲んだビールがすこぶる美味かったのをよく覚えているw。
本堂。中に1200年記念行事で寺宝の秘仏「出釈迦寺縁起 珊瑚仏」が公開されていた。
みうらじゅんも見仏(けんぶつ)には小さな単眼鏡を持参しているらしいが、ワシらは双眼鏡なのだ。ただし、熱心に読経している人がいるとためらわれるので、すき間を狙う。高さ50cmくらいの赤い珊瑚の中に真魚と釈迦如来と天女が小さく彫られた、寺の縁起を表現したものだった。
大師堂。やはり、ここでも御手綱が伸びている。
寺から見下ろす景色は溜め池と麦が黄金色に輝き、ビュートやメサ地形の小山。まさにザ・讃岐の風景だ。それが、「涅槃の道場」という讃岐のフレーズによく似合っている。
手前の家で売られていた鉢植えのクワが大きく美味しそうな実を付けている。