四国霊場開創1200年記念につき、69番札所観音寺で100年ぶりの本尊御開帳があるというので見に行く。観音寺は香川県観音寺市にある。つまりお寺の名前が市の名前になっているわけだ。
まずは山門の仁王様。仏像ファンにとってはこれがまず楽しい♬ いろんな大きさやバリエーションが豊かだからね。
鐘楼の建物の彫刻が凄かった。もちろん撞かせてもらった。鐘は最初に撞くのがルール。参拝後に撞くのは「戻り鐘」といって縁起が悪いらしい。とはいっても寺によっては鐘楼が目立たない所にあったりして、搗き忘れることも。
本堂。ここに秘仏がある。
観音堂と書いてある通り、秘仏のご本尊は聖観音である。聖観音像といえば立ち姿の奈良薬師寺のブロンズ像が思い出されるが、こちらの聖観音像は座像であった。中央に聖観音で脇侍が薬師如来と釈迦如来というのも珍しいのではなかろうか。
係の方が案内してくれ、厨子の前でじっくり見ることができた。秘仏は明治以来100年ぶりの公開で、先代先々代のご住職も見ることがなかったという。
その方のお話。・・・空海は遣唐使のチャンスを手に入れ、唐に渡るも2年で帰国する。本来なら20年の勉強期間のはずだったが、あまりに優秀すぎた。その異例を京の都は受け入れず、空海はとりあえず九州の太宰府に滞在する。しかししびれを切らして四国に戻ってきてしまう。そしてここの第七代住職になった。
だから、この寺は空海は四国において初めて住職についたという記念すべき場所なのである(※)。
大師堂。
境内の中央にクスノキの巨木がある。根が大きく膨らんだ異形の樹である。
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相変わらず旅に行くときはほとんど下調べしないのだが、ここに来て同じ敷地にもう一つの札所があることを知る。ラッキーw。68番「神恵院」。こちらが後になったので逆順になってしまった。
で、驚いたのが本堂がコンクリート打ちっ放し建築。型枠の継ぎ目とピーコンの穴まであるというアンドウ建築ばりのお姿。
おかげで堂内は読経の音がよく響いた。
側面はこんな感じなのだ。
でも大師堂は木造。いずれコンクリートに統一されるのかな? やっぱりお寺は木造がいいよ。
というわけで納経帳は同じ場所で同じ人に書いていただく。
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今日も車中泊。道の駅から町に歩いていけるので居酒屋ないかなと思ったが、観音寺はかなり寂れた町だった。スーパーで仕入れて夕日を見ながら浜辺で飲むことに。
穏やかな海だった。マツ林でたきぎ拾って焚き火してみた。海岸林はかつて海辺に住む人たちの里山だった。マツの落ち葉や松ぼっくり、枯れ枝がカマドなど炊事の燃料になっていて、そのおかげでマツ林は健全に維持されてきたのだが、今はもう誰も拾う人がいない。
夕日を見つめながら空海のことを思った。今日は四国で船出した空海の物語に出会った。これは護摩なのだ。
▼動画アップ。
※観音寺における空海の滞在と7代住職は寺の縁起による。九州を離れた空海は、和泉国(大阪府南部)の槇尾山寺に入ったとするのが通説。この頃の空海は唐から持ち帰った膨大な密教教典の整理と理論構築をしていたはずで、再び京に上がるまでの謎の期間といわれている。