播磨の鶴林寺


帰り道に寄りたいお寺があった。「播磨の法隆寺」といわれ国宝の建造物が2つもある鶴林寺。同じ名の寺は四国88箇所徳島の第20番札所にもあるが、播磨の鶴林寺は聖徳太子の創建なる「法華経の寺」である。入山料と宝物館拝観のセット券=800円を払って境内へ。

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国宝の本堂。1397年、室町寺時代の建立。和様・大仏様・禅宗様の折衷様式。本尊は薬師如来。脇侍に日光月光菩薩、多聞天、持国天の秘仏五体像で、60年に1度開扉される。最近では1997年(平成9年)が最後だから次回は2057年だ(私が生きていれば98歳♬)。

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でもちゃんと御分身が造られ、新薬師堂で観れるようになっている。秘仏の期間が長いため江戸時代に造られたそうだ。

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薬師如来、けっこう大きい。

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十二神将、生き生きとしている。

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もうひとつの国宝、太子堂。桧皮葺きの段のついた優美な屋根が印象的だ。1112年、平安時代の建立。兵庫県下では最古の木造建築。

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角度を変えて。

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段の部分の細部。

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太子堂の扉は閉ざされていたが、格子窓から薄暗い堂内を観ることができる。中央に四天柱があり、須弥壇の本尊は釈迦如来、脇侍は象に乗った普賢菩薩と獅子に乗った文殊菩薩。その上に天蓋が吊るされている。が、現在ここにあるのはレプリカで、本物は鉄筋コンクリート造の宝物殿にある。また、板壁や四天柱には仏画が多数描かれているらしいが煤けて見えない。これらは赤外線写真や蛍光X線調査などを経て、模写画ができており、合わせて宝物殿で再現空間を観ることができる。

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というわけで宝物殿へ。

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こちらは残念ながら撮影禁止なので、購入した絵はがきから、再現された仏画の一部。日本画家の高木かおり氏が東京芸大大学院時代に描いたそうだ。

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太子堂の仏像に白木に描かれた鮮やかな仏画が組み込まれ、法隆寺の金堂内部を思わせる絢爛さだった。

それとは別に寺宝として白鳳時代の青銅仏「聖観音立像」が中央に置かれている。

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これがもう、表情といい、ポーズといい、その空間性といい、いつまで眺めていても飽きないすばらしい仏像だった。白鳳仏の最高傑作といっていいくらいだ(↓寺のパンフレットから)。

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この仏像の通称「あいたた観音」。その昔、盗人がこの観音像を盗み出し、溶かして一儲けをたくらんだが「あいたた」という観音様のお声に驚き、仏像を返して改心した・・・という伝説があるそうな。

隣の小野市には、仏師快慶の大作を中央に置き、夕日を堂内に導くことで劇的な演出効果をみせる「浄土寺」がある。また時期をみて巡ってみたい。

福井講演旅(その6/浄土寺)


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