23年ぶりの海外旅行・フランス/7日目その1・地中海へ〜カップマルタンの小屋


ニースから海岸沿いに電車で30分ほどの所にコルビュジエが晩年を過ごした「カップ・マルタンの休暇小屋(キャバノン)」がある。日本から見学チケットを取るのにクレカを何度も弾かれたりして苦労した。8/23にゲットしたとき最後の1枚(!)。なのでツアーの事務所にたどり着いたときは感慨深かった。

ニース駅から鉄道で海岸沿いを東へ。ヨットやクルーザーが浮かぶ美しい地中海を見、カジノや国際ラリーで知られるモンテカルロで乗客のほとんどが雪崩打つように降りたその先にカップマルタンはある。Roquebrune-Cap-Martin駅から徒歩で事務所へ。

ツアーの事務所の中にはコルビジュエの資料・展示などが多数。

アイリーンの名作、E-1027 サイドテーブル。

ツアーはコルビュジエの休暇小屋の他に、隣接する家具デザイナー、アイリーンの別荘と、食堂〈ひとで軒〉の主人の依頼で設計したバンガローの3つを、10:00から解説付きで2時間かけて巡る。ガイドはフランス語と英語とふた手あり僕は英語解説のほうを選んだが、英語力がないので聞き取りは全然期待できない(汗)。

ツアー事務所から先は車道はなく、地中海に面した崖に沿った道を歩いていく。

まずはアイリーンの別荘から。建設された順序からからしてもここが1番目なのだ。

アイリーン・グレイは、アイルランド生まれの女性建築・インテリア・プロダクトデザイナーである。1926年に建てられたこの別荘は、自身とルーマニア人の恋人のジャン・バドヴィッチと過ごすために作られたのだが、同じ頃に完成間近だったコルビュジエのサヴォア邸よりも早くモダニズム様式の別荘を完成させてしまったのである。

バドヴィッチは雑誌編集者でもありコルビュジエのプロモーターであったが、この別荘の完成を見る前にアイリーン・グレイとは仲違いし、ここで一緒に暮らすことはほとんどなかったという。

以前から地中海が大好きだったコルビュジエはこの別荘に入り浸るようになり、勝手に壁画を描いたりして顰蹙を買うのである(でも、上手いな〜、レジェよりいいかも?)。

さて次はお隣歩いてすぐのところに建つバンガロー。その後、コルビュジエはマルセイユのユニテ・ダビシオンの現場の監督にあたるためにも南仏にたびたび出かけ、別荘わきの食堂小屋<ヒトデ軒>に出入りしてはやがて隣にこのバンガローと休憩小屋を建てることになる。

バンガローの内部。

ベンチレーションの縦長窓(網戸付き)。

横壁にモデユロールの壁画。そういえば参加者さんの一人がモデユロール・デザインのTシャツを着ていて皆の注目の的だった。

ヒトデ軒の内部。個人所有で中は見学不可。写真だけ♫

そしていよいよキャバノン。いや〜ここまで長かった・・・。ツアー解説のおばちゃんの喋りが冗漫すぎる。その間うろうろして写真を撮っていると「ムッシュ〜、そこのカーペットは踏まないで!」とか「そっちは入っちゃダメ」とかウルサイ(笑)。

僕も丸メガネだからしてコルビュジエ・ファンの東洋人建築家とでも思われたんだろう。参加者の人に「貴方はアーキテクト?」と聞かれもしたが、「いえ僕ペインターなんですよ」と手帳のスケッチをチラ見せしたりした。

外観は皮むき丸太の外側。

屋根の収まり。

外観は写真でみていた通りの印象だった。が、内部は・・・

実にかっきりとした作り込み。無駄な飾りやこれ見よがしの嫌らしさがない。

天井の空間に引き戸の物入れなんかがあったりして。

コルビュジエが作ると簡易小屋やバンガローもこうなるのか・・・と感動することしきり。使い手の立場に向ける優しさと温かさ。一本の線にも妥協しない、考え抜かれた場所に全てが配置されている。そしてコルビュジエの絵画と色彩が華やかさを添えてなお素晴らしい。

帰りの電車はまたしても遅延し、炎天下で1時間待たされる。ホームの木陰に座って昨夜の食べ残しの冷えたピザの残りをペットボトルの水で飲み込む。

続く▶︎7日目その2・ニースを歩く、マティス美術館


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