23年ぶりの海外旅行・フランス/6日目・ヴァンス礼拝堂・ルノワール美術館~ニースヘ


明け方に起きて日記をアップ。屋上に出てスケッチをする。屋上は途中、中国系の男性一人が写真を撮りに上がってきたが、それ以外は僕の独占状態だった。

ユニテの中にあるテラス席で地中海をみながら優雅なモーニングを楽しんでいると、知人から紹介されていたマルセイユ在住の日本人女性から電話が来て、僕が出発時間を勘違いしていることを知り、慌ててチェックアウト。今日はヴァンスにあるマティスの礼拝堂まで行きたいので時間的な失敗は許されないのだ。

かなり焦って駆け足で地下鉄の駅まで行く。ここで行き先を誤ったらアウトなので慎重に。が、今度は降りるところを間違えてしまい、マルセイユ 駅からひとつ離れた駅で降りてしまった。そこからまた早足で坂道を駅まで上るのだった。

それでもよかったのは出口の階段をのぼると凱旋門の直下に出たことで、パリの凱旋門と見まごうばかりのすばらしいものだった。

凱旋門とは「軍事的勝利を讃える記念のために作られた門」だが、かつて日本にも明治時代には芸術性の高い数多くの凱旋門が存在していたらしい(戦後すべてが取り壊された)。

駅にTさんが待っていた。食事できなかったからせめて出発前にお茶でも、と気を利かしてくださったのに、もうそんな余裕はなく、記念写真を撮って改札まで歩きながら話をする。

Tさんは女性料理人でマルセイユ 在住はすでに15年とのことだった。地方のおばあちゃんが作ってくれる郷土料理が最高に美味しいというような話をしてくれた。僕はロンドンで購入したエリザベス・デイビッドの古典的名作『French Provincial Cooking』を本棚に持っているけれども、いつかフランスの田舎料理を巡って地方を旅してみたいものだ。

さて今日の目的地はマティスが最晩年に作った(内装やステンドグラスもすべて)小さな礼拝堂である。僕は高校生の頃からこのヴァンスの礼拝堂(ロザリオ礼拝堂とも)の写真を見ていた。バルセロナ〜フランス〜イタリアのコースをとったのも、この礼拝堂見学の誘惑が大きい。

しかし、この礼拝堂行きはなかなか手強い。Tさんも行ったことがないとのことで自分で調べたのだが、礼拝堂はニースからかなり離れた場所にあり、手前10㎞ほどのCagnes-sur-Mer(カーニュ・シュル・メール)駅で降りてそこからバスで30分ほど行き、終点から徒歩で20分ほど歩かねばならない。この周囲にはレジェやルノワールの個人美術館も点在しているので、当初はレンタカーで回るプランも考えていたのだ。

乗車時にバスの運転手に行き先を確認し、なんとか終点のバス停に辿り着いて、わくわくしながら歩くこと20分。それとわかる白い小さな建物が近づいてくる。が、西洋人2人が途方にくれたような顔で佇んでおり、嫌な予感。「ガ〜ン‼️」鉄柵に南京錠・・・休館日なのであった・・・。調べが甘かった、日曜日は教会が閉まるはずがないと思い込んでいたのだ。

気を取り直してまたバスで同じコースを戻る。しかし、このバスのコースが南仏の山と谷間に古い美しい住宅が点在するすばらしい景観を縫って走っていくのだ。まったく飽きなかった。駅の手前で降りて、Googleマップを見ながらルノワール美術館へたどり着く(やはりバス停から20分ほど歩く)。

ここはルノワールが晩年を過ごした場所。オリーブの古木群が切られてしまうと聞いて購入したとも言われており、その他にもイチジクの大樹などもあって素晴らしい所だった。絵の数が少なかったけど、それでも気品高き名作は何点か展示されている。日曜日ということで無料だったのも嬉しかったが、園内の草地にビーズソファが置いてあり、くつろげるようになっている。今日はめちゃくちゃ歩いたのでしばし寝転がって休んだ。

今日からニースの朝食付きゲストハウスに2泊する。ニースは駅舎も古典建築でゆるやなか坂をもつ美しい街並みである。

小さな公園にまたもや巨大なプラタナス。散策しているうちに白くて大きな寺院に出た。中でミサが行われていたので僕も中に入って讃美歌を聞いたりした。

今日で海外6日目、さすがに生野菜を食べたくなり、Googleマップで店を見つけてバリバリ食べるのだった。

続く▶︎7日目その1・地中海へ〜カップマルタンの小屋


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