教会を出て再びサン・マルコ広場。今日はここからサン・ジョルジョ・マッジョーレ島へ渡る。パラーディオの設計で名高い教会があるが、いまここで「ホモ・ファーベル」という職人技を世界に紹介する展示会が行われているのだ。
ミラノでニアミスした仕事仲間のデザイナーのKさん情報で「ホモ・ファーベルはぜひ見たほうがよいですよ」と連絡が来ていたこともあり、昨夜オンラインチケットを取っておいたのだ。そのiPhoneに送られてきたチケットでサン・マルコ広場からのシャトル船に乗って行くことができる。
が、広場の船着場はゲートがいくつもあり乗り場がわかりにくい。出船時間までもう間もない、焦る💦 ようやく探し出して、乗船。係の女性にチケットを見せて無事出船。
初めて海上に出る。風景も興味津々! が、島にはあっという間に着いてしまった(笑)。
ホモ・ファーベル展はカルティエなどを傘下にもつラグジュアリー企業リシュモングループの一員である「ミケランジェロ財団」が主催し、2年に一度ヴェネチアで開催される職人技に特化した展覧会だ。
今回の展覧会のディレクターは映画監督ルカ・グァダニーノと建築家ニコロ・ロスマリーニ。3度目となる今回のテーマは「人生の旅路」。
サン・ジョルジョ・マッジョーレは島がまるごと教会になっているのだが、ホモファーベルはその教会の内部を使って展示されているのだった。
今回はヨーロッパや日本だけでなく、アフリカからはモロッコ、ケニア、ブルキナファソ、南アフリカなど13カ国の28の職人らが手がけた刺繍、面、木工、銀細工、彫刻作品といった多様な作品も選出。
「人生の旅路」に紐付けられた11の展示室には「誕生」から「死後」に至るまでの段階が副題として与えられ、それぞれに関連した作品が置かれていた。世界70カ国400名以上の職人による約800作品という出展量もさることながら、各作品の前には作家のQRコードが付けられており、スマホですぐに検索できるようになっている。
つまりこの展覧会は職人、デザイナー、収集家らのネットワークを作り、かつ職人たちが広くビジネスできるコミュニティをつくる狙いもある・・・というわけで作品の量・質とも凄かったが、その見せ方・演出、スタッフのサポートにも関心することしきりだった。
小雨がパラついていた。13:30の船でサン・マルコに戻る。
海上から鐘楼とドゥカーレ宮を見る。ヨットが戯れていた。
まだ水戸の実家に住んでいた頃、モネの絵を飾っていたのを思い出した。叔母に誘われて東京の展覧会で見たとき買ってもらったポスターだった。モネは晩年にヴェネツィアを描いたが、ここから見たアングルもあった。その連作の途中で旅に同伴していた妻を失い、その後は没するまでノルマンディーの自宅で池の庭を描くことに専念した。モネにとってヴェネツィアは最後の国外旅行だった。
残り少ないヴェネツィア滞在、今年はモダンアートの祭典、ビエンナーレも行われているのでそれも見ておきたい。が、結局この日の午後はふたたび教会巡りをすることにした。