青石の溪と大樹とオオムラサキ


徳島県の貞光〜剣山の筋には貞光川という美しい渓がある。僕はここに何度も通っており、そもそもyuiさんが四国にいた時代からコンタクトを取っていて、山暮らし時代には群馬から貞光の織本屋という重要文化財の古民家で個展とライブをやったことさえあるのだ(2009年1月)。これがそのときのチラシである。

お隣の穴吹川の筋にyuiさんの知人の女性林業家の方がいらしてその方の肝いりで紙芝居ライブをやる運びになったのだが、群馬の山奥から軽バンに個展の荷物を満載して四国剣山の麓まで行ったのだから酔狂という他はない。しかしそれだけこの貞光川一帯には魅力があり、なにより織本屋の建築が圧倒的に素晴らしかったのである(

その後、高松に越してからもここに通ったのは「そばごや」という手打ちの十割蕎麦が食べれる店を発見したからで、蕎麦好きの僕は高松からその蕎麦を目当てに県境の山を超えてこの店に何度も食べに行った。が、同時に吉野川や貞光川の流れが好きで、水気の少ない香川県にいると無性に滔々とした流れを見たくなるということもあった。

その後、Gomyo倶楽部のN先生の母方のご実家がこの貞光川支流の再奥の集落、一宇の奥大野にあることを知り、さっそく連れて行ってもらった(2014年11月11日)。そこでは通いで家と敷地を管理されている叔父さんに囲炉裏でもてなしを受け、すばらしい石積みをともなった古民家やアカマツの巨樹に感嘆したのだった(一宇は「巨樹の里」と呼ばれるほど巨樹が多い)。

その後、ノリさんの古民家(坂東商店)再生に関わりつつ、そのつてでまた貞光筋の方々と知り合うのである。まずは支流の久薮のあじさい畑の「大地の再生」の話が来て、その関係でヴィーガン料理の発酵宿 「古見茶屋&発酵一宇」を知った。さらにその上流にあるゲストハウス「風空縁紡(かくえんぼう)」の見立てをすることになる。

今回のキリコさんのご実家敷地はさらにその上流の支流筋にある。N先生の実家が奥大野がすぐ先、という位置である。剣山はかなり近いのだが、地理院地図でコンターを調べてみると標高は600mくらい。里山なのである。その証拠に見立てを終えて分校の敷地を歩いているときオオムラサキが飛来してきた(❗️)。その分校の敷地にはムクノキの巨樹があり、下にはユキモチソウの群落まである。

キリコさんは2024年4月19日の高越山・縄文ツアー@徳島/坂東商店でお会いしGomyo倶楽部へも見学に来てくれた。僕とほぼ同世代で高校時代まで一宇の実家で過ごされ川遊びや薪火など濃厚な体験を持っている。現在、徳島の文化施設に勤められており、なにかこの一宇に文化的な拠点となるような山小屋を作ってみたいというようなイメージを持たれていたので、まずは敷地を見に行ったわけである。

敷地は道沿いに空き地があり、道をはさんで山側にかつで祖父夫妻が住んでいたという廃屋があるのだが、中を見せてもらうとケヤキの梁などが使われていて素材が異様に良い。聞いてみると祖父は林業関係の仕事されていたという。

この家を解体してその古材で作ったらどうか? と僕は即座に提案した。ここに囲炉裏暖炉を入れて、小さなギャラリーとプチ図書館、そしてカフェができれば剣山登山の方々も喜んで立ち寄ってくれるだろう。

この一帯には宝形造(ほうぎょうづくり)のお堂が地区ごとにあり、そこにはセットで鎮守の森と巨樹がある。そして青石地帯であるから、石積みもすばらしいし渓谷の水も青く美しい。

近づいても逃げず、スマホを接近して撮らせてくれたオオムラサキの輝きが目に焼き付いて離れない。来シーズンこそこの溪でフライを振ってアマゴを釣りたい・・・などと考えている自分がいる(笑)。

明日は剣で神輿を担がねばならない。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください