クボタノリコ氏による徳島山川の古民家再生プロジェクト。1)大地の再生〜2)囲炉裏づくりと来て、3回目は「壁画を描く」である。通りに面して建物の西側は壁にトタンの波板が打たれている。そこに夕暮れっぽい山並みを描いてほしいというノリちゃんの希望。
ならばここはやはり名峰「おこっつあん」を描かねばなるまい。阿波富士・正式名「高越山(こうつざん)」1,133m。かつて銅山が栄え、そのせいでこの坂東商店もかつては隆盛を極めたのだった。
壁の寸法を測り、山のスケッチをして、アイデアをまとめる。ノリちゃんに図面を出してもらい・・・
それをiPadに取り込んでアイデアスケッチを落とし込み、Frescoで彩色していく。
軒天の下にはロゴマークが入る。その円と呼応するように・・・
杉の大木から飛び出すムササビを描くことにした。
通りに面したファサードも出来上がってきて、ブルーの屋根、焼杉の板壁が打たれた。入り口は道と並行に坂を降りて階下に入っていく。
すると車道の石垣擁壁が現れる。ここは改装前は納屋が接近して暗く閉じられ、排水が詰まって腐蝕がひどいところであった。そこを地下テラスとして解放系にしたのがこの建物の大きな特徴となっている。
輪郭線を描き始める。A4の紙にプリントアウトした下絵をグリット割りし、それを壁に転写していくのだ。
足場を使って高所に登るときはロープを腰に巻いて命綱をつけて描くことにした。角材で手すりも追加した。夢中で描いていると高所に居ることを忘れそうで怖い。
波板の凹凸で思うような線にならず苦戦する。また、ときに塗料の垂れが発生してしまい、布で拭きながら描いていく。
「タマリンこんな大っきい絵かいたことあるの?」とノリちゃんが訊く。
「ないよ」
「💧」
でも、不安も畏れもなく、描けるという確信がある。僕の絵は非常に小さく細かい作品が多いのだが、そのまま拡大してもまったく破綻なく、絵として成立するという自信を持っている。
今日はここまで。
前回の囲炉裏はすでに使い始めている。煙抜きの問題はまだ先だけど・・・。