昼前に多度津の映画上映場所の下見に行く。「地域交流センター」は移転した新役場内にある。会場は駐車場の2階から伝っていくことができ、すぐに解った。東京から戻って『杜人』のポスターやチラシ配りに奔走しているいるYさんと合流し、交流センターのプロジェクターやスクリーンを確認した。僕のMacBookに外付けのDVDプレイヤーをセットしてDVDが映るかどうかの確認をした。
その足で例の森畑地へ。どろんこ亭の山倉さんが見にきてくれた。
下の休耕田へ降りる森の道でYさんが珍しいキノコを発見した。キヌガサダケである。日本のキノコの中で最も美しいものの一つだ。朝方にはレースのカーテンのような部分がもっと膨らんでいて見応えがある。
そしてクロコノマチョウが見れた。森に棲む大型のジャノメチョウの仲間だ。ここではジャコウアゲハも確認している。
昼食はここの森が見渡せる蕎麦レストラン「そらとたべる threee」へ行ってみた。蕎麦専門というわけではなく、オリーブ牛のすき焼きと抱き合わせて供するのがメイン、なにより景色がすばらしい。
セットメニューは売り切れたそうなので蕎麦だけ頼んでみた。予約するとコース料理のディナーもOKらしい。BGMには80年代くらいのJポップが流れている。店を出る頃に佐野元春のSOMEDAYが・・・というのも珍しいかも。
Yさんはまた外回りするので、ここで別れて多度津の湧水に行ってみる。雨の少ない香川県は湧水は貴重なものでとくに「出水(ですい)」と呼ばれ大切にされてきた。情報では葛原八幡神社にある「八幡の恩湧(やはたのおんゆ)」と呼ばれるものがあるらしい。
しかし現在は多度津の金陵の工場(酒蔵)の中にあり一般の人は利用できないということだ。地元の人に聞いてみたら、今は湧水の場所はないという。八幡神社周辺を散策してみると「八幡の森ほたるの里」という場所に行き当たった。
ここが湧水の跡なのか? 看板によると「多度津町再生水利用計画の一環として下水処理場がらの放流水をさらに高度処理して水源とし、ゲンジボタルを放流していたらしい。
「らしい」と書くのは、もう一つの町のお知らせ看板を見つけたからである。そこには「令和3年4月をもって処理水の送水を休止」と書かれている。ネットで検索しても「八幡の恩湧」の情報は金陵の中にしかなく、多度津町HPにこんな記述を見つけた。
しかし僕が行ったときは井戸のような囲いからかすかに機械音が聞こえていたし、水の流れは動いていた。その証拠に水が澄んで錦鯉が泳いでいる。
出水のことを調べているとsanukinisumuhitoさんのブログに行き着くのだが、彼のブロク内検索にかけても「八幡の恩湧」は引っかからない。それにしても、2020年1月のこの記事「近年コンクリート護岸になって消滅した湧水水路の水辺環境」には心が痛む。貴重な平野部の出水になんということをしてくれたのだろう。米余りなどといって休耕田が増えているのに、一方で貴重な湧水をコンクリート土木によって消滅させてしまうとは・・・。
やはり石積みを守っていくことは非常に大切なのである。そしてこれと「大地の再生」の技術を組み合わせた手入れによって、地域人たちや子供たちと連携して再生を学んでいかねばならない。
高松市太田の「鹿の井出水」は今も枯れない湧水として一部の人には知られている。僕もこちらに引っ越してすぐ見に行ったことがある。