柿と岩戸の姫と、ばあちゃんの死


アトリエ敷地に最初に植樹したクリが収穫でき、初クリご飯を炊いた話は書いたが、今日は柿を収穫。今年は3つ生った。レモンと同じくこの並びは木の成長が大変悪いのだが、昨年は1個だったので進歩はしている。

5月にはこの木の葉っぱで「柿の葉寿司」を作った。木は小さいけれどいろいろ楽しませてもらっている。秋の葉っぱでも寿司できるらしいので鮭でやりたい。

柿の葉寿司と、辰巳浜子『料理歳時記』

根元の太さはまだこんな感じ。このくらいのときテッポウムシが入りやすいので要注意だ。

一つはyuiさんの仏壇にお供えし、一つは皮をむいて食べた。むいた皮は今季の沢庵漬のために干しネットへ。すごく甘い実だった。

午後から塩江に及川さんの個展『岩べえと岩戸の姫』を見に行く。

2020年10月24日の個展の発展型だが、昨年11 月の徳島県徳島市の喫茶店櫻ギャラリーで行われた回から「陶芸×打楽器×写真」の共演という演劇型で見せる新機軸を及川さんは追求し始めた(これは見逃してしまった)。今回はその延長上にある参加方アートである。

入り口で開演を待つ。昔のリンゴ箱が積まれたファサード。

入場券代わりに陶器の小皿をとる。そして前回と同じ林立した柱の上に木の棒が置かれていて、それを各自とって進んでいくと、次の部屋は映像の空間になっている。

写真家の上樂博之氏の映像作品がガラス越しのスクリーンに映し出され、矢城純平氏の打楽器が演奏される。終わると次のメインの部屋のドアが開いて、着物の女性(打楽器奏者の谷本麻実氏)のリードによって、観客も音を鳴らして(上写真の陶器を棒で叩いて)彫刻のまわりを回っていく。

使われた竹の木琴とドラ。

お客さんが引いたところでふたたび及川氏の彫刻をじっくり鑑賞。

全部で10体ある。それぞれが意味深でユニークな名前とポーズ。木彫やブロンズではなく土による陶像(焼き物)である。

個人的にはいちばん気に入った像。「アメちゃんどうぞ子」

「貸借天子」未来はビルより重し・・・帝釈天とかけているのかな、ビル模型の上に宝珠?(謎)。彫刻家・及川さんの「実体験から『消えゆくもの、残るもの』をテーマに構成」とパンフレットには書かれている。

しかし、これだけではなかった。最後に鬼(山賊)コスチュームの作者自身が(笑)。なるほど、それでこのガラスが生きてくるわけか・・・。

アメノウズメによる歓喜の踊りによって岩戸が開く、10人の女神に祝福されて僕ら自身がトビラを開けて蘇る、次のステージに行く。鬼に見守られて・・・。

岩べえと岩戸の姫/クラファンページ

帰りの車の中でiPhoneが鳴り、yuiさんの叔母の訃報を受ける。個展会場の光と形と音とともに、ばあちゃんが昇天していくイメージが、きらきらと押し寄せてきた。享年98歳だった。


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