昆布とかめびし


今回、酒井さんに学んだことで「手塩」の他に、昆布と薄口醤油(東かがわ引田の「かめびし」推奨)の使い方のことをを書いたが、その後の昆布の出しガラがまたやわらかくて、そのままで旨いのに驚いてしまった。

丸元淑生のやり方だと、出しがらの昆布を冷凍保存しておき、それがまとまったところで醤油と酢と水で煮詰めて「煮しめ」にしていく。しかし2〜3度使い回した昆布はそのままでも食べれるほどやわらかくなっているので、ためしに切ってそのまま梅酢と「かめびし」の薄口をかけておいたら・・・煮る必要もなく十分イケルではないか!

梅酢だけでなくかめびしの薄口をちょいと使うところに秘訣がある(これも酒井さんから教わった手法である)。大阪で食養の庵をむすんでいる酒井さんが香川県東かがわ市の「株式会社かめびし」を愛用されていたこのは意外だったが、このかめびしの薄口は、古来からの独特の製法をとっている。

それは「むしろ麹法」というもので、蔵の中で藁やイグサなど草で編んだ敷物で「麹(こうじ)」を仕込むのである。昔から醤油づくりは「一麹(こうじ)、二櫂(かい)、三火入れ」といわれ、麹がもっとも重要とされているのだ。

麹は、生き物として扱う(かめびしのサイト)

そのせいか味が深く、ニョクマムなどの魚醤を思い出させるような、かすかな魔味がある。外部からの濃い出汁や甘み風味(みりん・酒など)に頼らずに、それが最後に料理をまとめる。すると、素材の味をじゃませず引き立てる。

化学調味料は論外として、これまで煮干しや鰹節、あるいは動物系の骨スープに頼って味を濃厚にすることで、さらにみりん・酒などを加えることで、化学調味料に対抗してきた感があるが、それとはちがうベクトルなのだ。

野草と本物の発酵調味料・・・むしろそれが古来からの日本の味だった!・・・野草の下ごしらえには大量の水と火が要る。それもまた日本の風土ならではの恩恵によってもたらされる・・・なるほど!!!

今回の最大の収穫はそこに気づいたことかもしれない。

そしてこの味のベクトルはまた、米飯と響き合うのである。

というわけで、近頃の僕は冷凍してあった昆布の出しガラを取り出してはそれを味噌汁のベースに使い、使用後の昆布をこの簡易佃煮(火入れしないので佃煮とは言えないけど)にしてをせっせと食べている(笑)。


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