原木の伐採(秋の備長炭取材その2)


紀州備長炭を焼くT氏がいま伐っている山を見に行った。白浜の海岸近く、道沿いでウバメガシの木はかなり大きく育ち、道路や電線の管理上からも伐る必要がある場所という。

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凹地にシダがあるくらいで、中に入ると林床に下層植生はほとんどない。これがウバメガシ林の平均的な姿だ。ウバメガシは海沿いの岩場という極めて条件の悪い場所に耐える。他の樹木が生息できないから純林ができる。草が生えていないからといってすべて悪い山と思うのは間違いだ。スギ・ヒノキの間伐が遅れてく草が生えなくなるのとはワケが違うのだ。

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夏に伐ったという伐り株を見せてもらう。カシナガの幼虫が吐き出した木屑の粉がたまっている。伐り株の芯が変色し、においをかぐと独特の異臭がする。

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カシナガ被害は道下側の太い木に多い。ふつうウバメガシはこんな太くならない。太く育ちにくいということもあるが、むかしは太くなる前に炭やき師たちが伐ってしまったからである。ここまでになるとさすがに下枝が枯れ始め、老齢木の様相になる。樹冠が閉塞し、その太い幹に要する光合成量を獲得できない。そうして弱るから虫が入りやすくなる。

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幹の上部にも穴が開き、粉が吹いている。が、ウバメガシの場合は枯れにくいので、虫が入っても葉の色が変わらない。だから、遠見からはカシナガ被害に気づかない。

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斜面を上がってみると太い木にも虫食い跡がない。多くのケースではカシナガ被害は道下の側から始まり、翌年は上の太い木へと、徐々に上がっていくらしい(T氏談)。

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ところどころに大きなヤマモモの木が残されている。ヤマモモは治山効果が強く、根粒(細菌との共生によって植物の根に生じる瘤)で窒素固定を行なうので痩せ地に強く、土地を肥やす性質を持つことから、むかしの炭やき師たちは伐らずに意識して残したのである。ヤマモモの周囲は腐葉土でフカフカしていた。

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何本か伐採するところを見学させてもらった。これでも海岸近くにしては樹高が高いほうである。

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倒すのよりも重要なのは、枝払いと玉伐りである。この時点で「木ごしらえ」を想定してムダのない最良の木取りを済ませておく。

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葉のついた細枝は山に置いていくが、T氏の家ではヤギを飼っているので、餌の少ない冬にはウバメガシの葉を餌に与えることもあるという。ちなみにヤギを飼い始めてから草刈りが楽になり、シカやイノシシの被害が極端に減ったそうだ。

仙酔島の森林


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