ゴリの佃煮を開けた。ゴリは琵琶湖八珍のひとつだ。体長1~3cm、体重1g以下。琵琶湖では夏に沖曳網(底曳網)でシラス様の稚魚が漁獲される(この稚魚は、一般に河川で獲れるゴリとは別に扱われている)。
ゴリとは、ハゼ科ヨシノボリの別名(地方名)である。正確には「オウミヨシノボリ」。琵琶湖にはほかに「ビワヨシノボリ」「カワヨシノボリ」「イサザ」などハゼ科が何種類もいる。
琵琶湖八珍はビワマス、コアユ、ハス、ホンモロコ、ニゴロブナ、スジエビ、ゴリ、イサザの計8種。平成25年「滋賀県立安土城考古博物館」が来場者への湖魚料理人気アンケートを基に供給量などを考慮して選定した。(滋賀県のHP)
ニゴロブナは鮒寿司に使われる。イザサは大豆と炊いた佃煮が有名。結局、この数年間の滋賀県通いで僕は琵琶湖の八珍をすべて食べている。ホンモロコはこのブログでも何度も絶賛しているけれど、脂の多い旬は秋だが、春先の子持ちのホンモロコもぜひ食べてみたい。
さて、琵琶湖といえばアユ。一般にアユは河川の中流ないし上流で十分な成長を遂げ、秋口から川を下り始めて下流域で産卵、生まれた稚魚は秋に海に下り翌春まで海で過ごす。そして春〜初夏に川をのぼり石についた藻類を食べるようになる。
※アユの場合はウナギのような降河魚とはだいぶ違うので両側回遊魚(りょうそくかいゆうぎょ/amphidromous fish)と呼ばれる。ウナギは産卵のために海に出て、孵化した幼生(レプトセファルス)は、再び川を遡ってくる。このような魚を降河回遊魚(こうかかいゆうぎょ/catadromous migration)という。サケやヤツメウナギのように海洋で生活,成長し,産卵時に淡水に入るのを遡河回遊魚(そかかいゆうぎょ/anadromous migration)という。
いっぽう琵琶湖のアユは、海の代わりに湖で冬を越す。琵琶湖のアユも春〜初夏に川をのぼるの性質はあるが、成長の良いものが河川へ遡上し、大部分の個体は琵琶湖で成長し小型のまま成魚となる(海産のアユに比べて鱗が細かく滑らかで、口当たりが良い)。
琵琶湖内で完結するコアユはプランクトンを食べるが、一部は湖岸の岩盤上の藻類を食べて大きく成長するものもいるという。
冬季に獲れる稚魚は、ウロコが生えそろわず透き通った体をしているため氷魚(ひうお)と呼ばれ、さっと塩ゆでにした釜揚げは、琵琶湖ならではの贅沢な味覚だそう。
ところで僕の持っている図鑑『山溪カラー名鑑/日本の淡水魚』(山と溪谷社1989)のアユの項の末尾にはこう書かれている。
アユは清流の魚といわれたりするが、ごくふつうの中流域に、あたりまえに生息していたとみるのが至当で、もしこの魚が生息できなくなったところがあるとすれば、その川の状態は相当に悪いとみて間違いない。
みなさんの近所の川はどうですか?
意外だったのは八珍にハスが含まれていることだ。ハスはコイ科のなかでは珍しい魚食性のファイターで、主にコアユを食べているという。
小型のものと大型のものでは獲れる時期が異なるのも特徴で、湖東では夏に獲れる大型のハスを塩焼きにしたものが好まれる。ハスに味噌をつけて田楽にして食べたりもする。
琵琶湖八珍のホームページでは各魚の解説とともに食べれるお店の紹介もあって愉しい❣️ 今年は釣竿を片手に湖を周ってみたいなぁ。