ログハウスのウッドデッキを切って「ファイヤープレイス」を作る@大阪高槻市


滋賀ワークショップ旅の5日目は、やっちゃんのトラックに同乗し大工道具を積んで早朝から大阪へ。高槻市にあるHさん宅はウエスタンレッドシダーを使ったログハウス住宅。目の前は田んぼ、隣には竹林と水路(三面張りだけど水はけっこうキレイでホタルも飛ぶという)そこに小さな畑がついてドン!とカナディアンのログハウスが建っている。う〜ん、すばらしい!

しかし周囲の緑が混みすぎていた。それをやっちゃんが「大地の再生」手法で風を通していった。前回、僕もその見立てに同行したのだが、建物のデッキが大きく張り出してこのデッキ自体が風通しを悪くしていると感じた(実際に木が腐蝕し始めているカ所がある)。

「僕ならデッキを大きく切り込んで地面を出し、そこで焚き火をしたいなぁ」

・・・なんてつぶやいていたら、実際にその工事やってください! ということになったのだ。

実際に切る曲線ラインをチョークで引いていった。切るのは2カ所、角と中央部。基礎があるのでそれを外さぬようぎりぎりを狙うのだが、中央部はそれだと狭いので基礎をひとつ取り去って、臨時にカージャッキで支点を作ってからカット。

このデッキはご主人の手作りだという。基礎もボイド管を使った現場打ち。当時はDIY雑誌『ドゥーパ!』をよく読んでおられたという。そのご主人が自ら丸ノコやジグソーを持ち出してあっという間に板を切り始める。

同市内に住むサニリリ夫妻も登場して加勢してくれる。

中央部の切り。

切り終わりはこんな形に。空間が劇的に変わり、デッキの下にも風が流れ始める。ちょうど目の前に桜の木と古いピザ窯がある。ピザ窯は年に数回しか使わないという。本体は耐火煉瓦で積まれており、モルタル接着がないので思い切って撤去してもらった。

皆が切断や残材運びをやっている間、僕はここに作るファイヤープレイスに合わせて竹の三又と空カギの自在カギを作る。Y型のカギは薪の中から選んだ材をヨキやナイフで削り出し、真ん中の横木は裁断したデッキの材を使って作ってみた。周囲の石を組んで地炉を作り、そこに合わせて三又を据えてみる。

さっそく火を焚いてみる。炎が立つと空間がさらに劇的に変わり、皆から歓声が上がる。

赤丸がピザ窯があった位置である。撤去したおかげで広々としたファイヤープレイスができ、奥にある畑へと目線がつながった。もちろん風通しもよくなった。ピザ窯で使われていたレンガはまた別の場所に作るとき再利用できるが、とりあえずデッキのカーブに合わせて敷き並べた。

植栽したかのように見える桜は、実は伸びてきた根っこから萌芽したものだ。どうやらピザ窯の基礎に被圧されて強根がデッキの方向へ伸び、そこから出てきたものなのだ。切るのも可哀想な気がしてあえて残して石で囲ってみたのである。

ログハウスとの遠景も、いい感じ! ウッドデッキの上で「焚き火台」を使うより、より自然で大地とのつながりが感じられ、空間的にも心地よい。

デッキでお茶を飲むのもいいが、地面に椅子を置いて低い位置で楽しむこともできる。

もう一つの発見! デッキの片隅にホコリをかぶった火鉢があった。それを取り出して使ってみようと提案したのである。これがケヤキの臼を加工したもので銅板の内張りというなかなか素敵な火鉢なのだ。上部の古い灰を捨て、薪ストーブの木灰ををそこに補充し、さっそく焚き火でできた熾炭を載せてみる。

家の中に招き入れると、ちょうどコタツのある小上がりの畳スペースにぴったり❣️ 奥様は嬉々としてさっそくパンを焼いたりお餅を焼いたり・・・。どうしてこの火鉢をいままで使わなかったのか、不思議な気がしたほどだった。

この火のある暮らしの激変と再編に、ご夫妻はとても感激してくださって、僕もホッと一息。夜のとばりが降りて、素敵なログハウスの室内でご馳走をいただいたのであった。

Hさんのログハウスには大型薪ストーブが据えられているのだが、ここ関西では1年のうち使わない季節のほうが長い。が、庭のファイヤープレイスや火鉢は周年使うことができる。

庭の枯れ枝や木工の端材なども燃やすことで片付くし、様々な料理を(たとえば燻製なども)楽しむことができる。燃料の節約というだけでなく、薪火のチカラと味わいをこれから存分に楽しんで、ご家族で新たなスタイルを創造してほしい。

併せてやっちゃんたちには、今回は「空間づくり」のよきスタディになっただろう。良い空間デザインは「大地の再生」的にも合致したものなのだ。


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