先日、大阪高槻「浦堂認定こども園」のHさんが保育士さんを連れて、滋賀の囲炉裏暖炉ワークショップVol.2に来てくれた。そのときの「小さな焚き火」が気に入ったらしい。浦堂は敷地内に「大地の再生」を取り入れており、Hさんは前から「園児たちに焚き火体験」をさせたいと言っていた。ちょうど2/3の節分にイワシを焼く行事があり、その準備として小さな焚き火を試験的に導入したいとのことで、講師として僕に白羽の矢が立ったのだ。
イワシ焼きは例年ならレンガをずらっと並べていっせいに串焼きするらしいのだが、それでは子どもたちは遠巻きに眺めているだけで、火と親しめない。園内の工事で石がゴロゴロ出てきたものを取ってあるそうで、その石で小さな炉をいくつか作り、先生方も焚き火を習得してそこで炭火焼きをやれば、より身近な体験をさせられる。
というわけで、やっちゃんや八木くんたちの「大地の再生」の経過などを見たあと、Hさんらと打ち合わせして園庭に出ると、子どもたちが今か今かと黒山に集まっている。
イタル君のところでやったように。石で小さな炉を作りやっちゃんが持参した小枝や焚き付けで、皆に火の注意などを説明しながら点火する。中には家のコンロがIHで日常に火(炎)を見たことがない子もいる。火が暖かい(熱い!)という感触すら珍しい(感動モノ?)なのだ。
火の周りにあっという間に群がって、手に小枝をもって火をつけたがる子どもたちを牽制しながら解説を加えていた僕は、とても写真どころではなかったが、スキをみて何枚か撮った(笑)。
先生方も別口でかまどを作り、僕がチェックしてから火をつける。うちわで扇ぐ快感をおぼえてしまった子どもたちも続出。
予想通り子どもたちが枝を突っ込み過ぎて熾炭が増えてしまい、火勢が落ちてきたので、となりに子カマドを追加。
昼食とお昼寝で一段落した後に三又で湯を沸かしてみることにした、その写真を午後から様子見にきた八木君が撮ってくれた。
三又はやっちゃんのトラックで持参したものだが、カギは園内にあった剪定枝からみつくろってナタとナイフでささっと作った。
さすがに午後の部は子どもたちも若干落ち着いてはいたが、やはり注意は必要である。吊り鍋がなかったので普通のアルマイトの両手鍋に針金で吊り把手を作り、それで湯を沸かして、皆でお白湯を飲んだ。
焚き火の炎の美しさ、ぬくもり、煙のけむさ、匂い、音、様々なことをこの小さな焚き火から感じ、そしてその火で沸かした湯をカップで飲む・・・という鮮烈な体験。
それが園内にある木々の枯れ枝や、「大地の再生」で使っている炭ともとつながる感覚。
お湯をこぼしてちょっと泣いた子がいたけれど、あとは事故もなく大成功で、Hさんをはじめ先生方も大変喜んでくださった。大阪の「大地の再生」仲間2人も手伝ってくれ大助かりであった。
土をかけて消火する。
ススで真っ黒になった鍋を、地面に転がっているワラを集めタワシ代わりに洗っていると、子どもたちが集まって観察していく。昔はこういう生活のすべてに学びがあったのだろう。
その後は、園児の踏み圧をなんとか軽減させ緑化エリアを増やす作戦として、石の囲いを埋め込むことでデザイン化し、結界をつくる作業をやってみた。
石は埋める前に炭と枝を入れておく。そして寝かせるのではなく立てる(土圧が軽減する)。環状の石は均等にレイアウトするだけでなく、ひとつひとつの角度・方向・左右とのバランスが、美しく見えるよう配置する。ただ並べて置いただけでは子どもたちに簡単に動かされてしまうらしい。だから何か特別な雰囲気にして結界を張るのだ。
後日、Hさんから写真の報告があった。大阪のふたりが雑草を植え込みに来てくれたという!
彼らには、雑草を石の間に植えるといいと言ってあった。その通りやってくれたようだ。これでしっかりと結界ができた。緑化の本命は中の小山部分だが(ハーブが植えてあり周囲に水脈が掘ってある)、このエリアが成功したなら、他の木々の周りも徐々に緑化させていきたい。
この春から、火と緑のエレメントが、園の子たちの感性を育てる。