男木島石積みws(1日目/その2)


現場はこんな感じ。崩れたのは数年前、今年NPOが土砂を片付けて少しだけ積み直したのだが、コロナ騒ぎでイベントが続かず夏まで放置され半分は草に覆われている。

まずは草刈りして石垣の全貌を見る。

ここは島のおじいさんが一人で積んだと聞いた。

草を取ってみると、出隅は井桁積みでソリを効かせてあり、入隅はアールでキメていて、その間に平石で階段を作ってある。プロの精緻さはないが、美しく心に響く石垣だった。

木陰で休憩に入る。やっちゃんが風の草刈りの解説。ついでに上の石垣の草取りもした。

休憩の木陰からの風景。癒される〜。

さらに草を剥ぎ取っていく。

地面を整地しながら埋もれている石を取り出す作業。石を積むまでにたくさんの作業がある。苦しいところだが、この段取りがすごく重要。

反対側のコーナー。コンクリートブロックで積んである。島では石でさえ貴重な資源ということがよくわかる。

14:20、昼食が運ばれてきた。酢の効いた切り干し大根や錦糸卵などが込められた古代米のおにぎり。美味しい! 力がつく!

そして小林さん特製の自然食シャーベット!!! 梅シロップや島のスモモ、そしてツノマタという海藻で塩気ととろみがついている。

皆が「ああ、生き返る・・・」とつぶやきながらシャーベットと水を飲む。

15:00、いよいよ石に触る。赤の部分をいったん崩すことにした。一番下のもっとも重要な根石を確認するためと、崩壊の境界部がやや飛び出しているので、全体のツラを合わせるためである。

石を取り出したら、裏込めのスペースをとるため土を掻き出しておく。

15:40、ようやく積みの体制が整う。取り出したり掘り出したりした大小の石は、サイズごとにまとめて集めておく。

清水さんに手伝ってもらい、丁張(ちょうはり)を作る。石垣の勾配とツラを合わせる基準のラインである。石垣の勾配はふつう2分程度、今回は既存の石垣に合わせる。小幅板を木杭で止め、水糸を2本張る。

既存の根石を確認し、土の部分はタコで突いて、新たに根石を入れ直していく。

根石は様々な意味で大変重要なので、ほとんど僕ひとりで積んだ。根石は現場にある石のうち最も大きなものを使い、裏込めには小石を入れた。ここで小石はほとんど使い切ってしまうので。次の裏込めに古瓦を割ったものを用意してもらう。

休憩を入れる。17:00、最後のめおん号が高松に帰っていく。

夕刻になってもまだ暑い! が、ここが勝負どころ。ここまで段取りができていると積むのは早い。

18:00、4段目まで一気に積み上げる。一段ごとに飼い石をしっかりと、そして裏込めの割り瓦を入れて、次の段を積んでいく。丁張で確認しながらツラを合わせていく。

不定形の野石の場合、谷を作って3点合わせで積んでいくのが基本となる。すると、1個の石に対して6個の石が噛み合う形になる。この「六ツ巻き」が連続することで強固な石垣ができる。あとはそのバリエーションになるのだが、初めての人はどうしても石が立てられず、平たく積んでしまう傾向にあり、それだと次の石がうまく詰めない。上の段を積んでしまったらもう下の石は直せない。下段を揃えることが上部につながっていくので、細かくチェックして直していく。

上から見たところ。積み石はツラよりも控えを長くとる。そして地山に向かって控えが下がっていることが重要。さらに飼い石の止め。割り瓦の裏込め、いずれもハンマーで叩いて詰め、裏込めもよく突くなどして空隙を少なくする。

宿へ帰還。途中の風景。男木島の集落は島の西側に集中しているので、夕日が美しい。

猫の島でもある。

お楽しみの夕食。小豆島放牧豚と夏野菜の炒め、自家製味噌の味噌汁。

大きな怪我や熱中症も出ず、みんなもりもりと食べる、食べる!

古酒の梅酒をご馳走になる。

麻の蚊帳を吊って就寝。さて、いよいよ明日は皆んなで石を積んでもらうことに。

2日目に続く。


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