朝一のフェリーで男木島へ。石垣を積みに行ってきた。実は昨年から石垣指導をやってほしいとの話があり・・・仕掛け人はやはりこの人である(笑)。
今回選ばれた場所は畑地の5段くらいの低い石垣である。崩れたまま放置され、そこにイノシシが荒らしにきて、それを片付けて・・・という繰り返しのままヤブになっているという感じだった。まずは草刈りで土と石の状態を見る。
今日は取材も入るのだが、1日で結果を出しておきたいので、エリアを決めてその部分だけ上まで積み上げておきたい。ちょうど既存の石がある程度の高さまで残っている中間地点があり、入り口のカーブからそこまでを目標にした。土と石を崩していく。配達のバイクなども通る道なので通路を開けて石・土・資材の置き場所を考える。
やや深めにベースを掘り、根石の積み始め。今回はカーブがあるので基準の丁張は作らない。
とりあえず根石と既存との境界部分は難しいので僕一人で積む。
石垣の所有者と親戚の方も作業に参加され、熱心にお手伝いしてくださった。やはり裏ごめ石はほとんど入っていなかったので、古瓦を割って作り挿入した。
午前中はここまで。ドリマの上で昼食をいただきながら、今回は座学をはしょっていきなり現場なので、参加メンバーに石垣に関するレクチャーを挟んでいく。
2段目以降は皆にも石を触ってもらい、積みを体験してもらった。
けっこう早く積み上がった。上部のヤブも整理して、草の塊を風が通るように部分置きで山積みした。
今回のハイライトはカーブの納まりと要石(かなめいし)のレイアウトである。長い平板石と、玄武岩のツラのきれいな大き目の石がここぞという所に挿入することができた(緑矢印、赤ラインが旧石との境界線)。
下写真がビフォー。カーブのラインがきれいに出ると気持ちがいい。一人の指導者と数人で、1日でこれだけの石垣が再生できるのだから、昔の島の人たちはこの何倍も早く石を積んでいただろうし、今だって人材を作ってシステムを作ればどんどん再生が進むにちがいない。
ただし、若い人たちは体力があっても道具の使い方、体の動かし方を知らない。たとえばスコップやバールの使い方を1から教えねばならないのだ。まあそれも面白いといえば面白い。
最終のフェリーで高松に帰る。男木島の港にはまたガラスと鉄筋コンクリートの新たな建物ができていた。島の中では石垣が崩れ、ヤブ化して剪定を待つ木々がたくさんあり、まだ補修すれば再生に間に合う古民家もあるのだから、こちらにもぜひ予算をさいてほしいものだ。
希望をもらった1日であった。
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僕の石垣積み解説(図解)のあるテキストはこちらです。