本棚の中に古い丸元料理本を発見した。中央公論社の料理系ムックで「暮らしの設計」というシリーズで、丸元淑生が最初に料理写真を出したのがこの本、その2冊目になる『続・新家庭料理』だ。初版発行は1989年だから、もう30年以上も前なのだ・・・。
東京在住時代に使っていたものを、群馬の山にも持って行き、引越しの度に整理した本から漏れずに、ここ高松まで来ていたのだ。もうボロボロで表紙には穴は開いているのだけど(笑)、料理本というのはそうなることが名誉であり作者の本懐なのだというようなことを、当の丸元淑生が書いていたからいいのだ。
さて、その本の中から東京時代にもよく作っていた懐かしい料理を再現してみた。「ジャガイモとキノコの蒸し煮」である。1ミリにスライスしたジャガイモにたっぷりのキノコがサンドイッチされ、豆乳をかけて蓋をして蒸し上げるというもの。
簡単でたっぷりのキノコが食べれてたいへん美味しい料理である。昨日の昼はそれをメインに冷蔵庫の残り物とご飯と味噌汁というオールベジ食。
というのもハマチのヅケを試食してみたのだが、イマイチ美味しくない。激安だっただけに、ちょっと素性が悪かったのかも? まあ、猫たちにはありがたい刺身ご飯にはなったが。
夕刻、きんぴらごぼうが無性に食べたくなり、ささっと作り、それをモシャモシャとつまみ食いしながら次のおかずを作る。昔ならピーナッツでもつまんでビールを飲みながらやっているところだが、今は白湯にきんぴらなのである(笑)。
キャベツが使えずにあったので、丸元本からまだ作ったことがないキャベツ料理を探し出し「キャベツとトマトのシチュー」を作ってみた。まずスプリットピー(ここではグリーンを使ったがレシピではイエロー)をターメリックとともに煮ておく。
もう一つの鍋でマスタードシードをから炒りし、オリーブ油をしいてスライスしたタマネギをカレー粉とともに炒める。
豆が煮えたらトマトを入れてる。そこにタマネギの鍋を合体。塩で味をつける。ここで鍋の半分はブレンダーでピューレにするのだが、トマトは缶詰を使ったのでこれは省略。
そしてここからが面白い。大量のキャベツをグレイターでおろして、
鍋の火をあげてそのキャベツを全部入れるのだ。
汁気が少ないのだがビタクラフト鍋で蓋をすれば蒸し煮になるから焦げつかない。キャベツの色が緑にさえてきたら完成。冷えても美味しい料理だという。
この料理の底本はジュリー・サーニの『クラシック・インディアン・ベジタリアン・アンド・グレイン・クッキング』だそうで、この本インド料理の伝統を伝える名著だとか。
これが先に作ったきんぴらなのだが、あまりに美味くて全部平らげてしまった。味付けは醤油と酒と塩だけ。歯ざわりが残るような加熱で仕上げると本当にウマイ!この作り方を覚えたのも丸元本だった(『丸元淑生のクックブック』P.255)。
さて、完成したキャベツ料理は
「こういう料理の価値は体のほうがよく知っていて、大きなボウルに一杯あったものが、気がつくと底が見えるくらいになっている。ご飯にもパンにも合うところもよい」
と書かれているとおり、気がつくと僕も2/3くらい食べてしまっていた(笑)。あとパスタしようと思っていたのだが野菜だけでお腹が満たされたので作るのやめたw。
「キャベツとトマトのシチュー」は『ヘルシークッキング 春冬篇』11ページ、「ジャガイモとキノコの蒸し煮」は『続・新家庭料理』12ページに掲載。今後、ベジタリアンやヴィーガンライフに丸元料理本はきっとリバイバルしていくと思う。