全部チャーシューにするにはちょっと大きめの豚バラ肉を手に入れてしまったので、1/3ほどフードプロセッサーでミンチにして手作り餃子を仕込む。というわけで皮も手作りしたのだが、今回は強力粉と薄力粉を半々にブレンドして作ってみた(いつもは強力粉100パーセントで作る)。
強力粉でやるより粘りや腰の弱い生地になるはずだが、コネて寝かせた後にもう一回コネて、さらに寝かせるという工程をとる。野菜はいつものきざみより粗めにして仕立ててみた。
そして焼きは鉄パンで。5個なら剥がしやすいので失敗なくできた。やはり焼き色はテフロンより美しい、そして香ばしいのであった。なんでいつものやり方を変えてみたかというと、YouTubeで皆がやっているやり方をトレースしてみたいと思ったのだ、それどれくらいのレベルなのかな? と。
料理も暮らしも常に進化しないとね。
囲炉裏暖炉のスペースに常設していた折りたたみ式のソファーベッドの足が壊れてしまった。ガタガタしていたのを修理せずそのまま使っていたら全ネジの芯から折れてしまい、修理はかなり難しいように思われた。とりあえず木材で補強したが、車輪が使えないので移動ができない。
さすがに安物だったのでこんなものか・・・と諦めかけたが、再チャレンジ。ひっくり返して接合部の布地をナイフで裂き、構造を確認してワッシャーを外してからねじ込んでみたらなんとか付いた。
この折りたたみソファー、値段はなんと3万円代とメチャ安で、アトリエ建設で金を使い果たした僕らにはありがたい買い物だった。屋島の近くの西村ジョイに入っている家具屋さんで見つけたのだが当時メーカー名はよくわからなかった。
後でアマゾンで同じものを発見した。かの住宅メーカー「タマホーム」のグループ店である「タマリビング」が販売する、製品名は「ビータ アクティブ ソファベッド」というものであった。
ただし類似品がかなりあって、たとえば「山善」というメーカーがデザインそっくりの1人用ソファーベッドを2万弱で売り出しており、それをジャパネットが取り扱ったりしている。このところテレワークが盛んになり、事務イスやソファーベッドに需要が高まっているのかもしれない。
前にも書いたが、これを買い替えて新たに囲炉裏暖炉に似合うデザイナーズチェアを選ぶとしたら、ズバリ「スパニッシュチェア」・・・これしかない。デンマークのデザイナー、ボーエ・モーエンセンが自宅のためにデザインした剛直な木と一枚皮の組み合わせによるイスである。
モーエンセンの椅子のデザインには二つの流れがあって、シェーカーの家具に影響を受けて作られた「J-39」のようなシンプルなもの。もう一つは一枚の厚皮を張ったスペイン調(スペイン風ではない)のものである。
山内陸平『20世紀の椅子たち』(彰国社 2012)にルイス・カーンのキンベル美術館にモーエンセンのダイニングチェアが並んでいる写真がある。ダイニングチェアはスパニッシュチェアのファミリーで、スパニッシュチェアの8年前に作られた無骨な革張りの椅子である。
カーンの荘厳でミニマルな空間にはミスマッチのような気がするが、カーボーイハットをかぶった人がいまでも歩くようなテキサスの街、フォートワースにはモーエンセンのダイニングチェアはよく似合う。
「どちらかというと厳しすぎる建築空間との対比として、訪れる人たちにほっとする気分の抜け道をカーンは用意したのかもしれない」と、筆者の山内陸平は書いている。
山暮らし時代の2006年、川越での出張ライブの帰りに渋谷でドキュメンタリー映画「マイアーキテクト」を見たのを懐かしく思い出した。
いずれ頑張ってスパニッシュチェアを手に入れたい。そしてキンベルの空間でモーエンセンに出会ってみたい。