「大地の再生」ライセンス講座@滋賀・野村隆哉研究所/2日目


2日目、ホテルから高速をとばして再び研究所へ。いい天気だった。自己紹介を経て・・・

野村さんが挨拶する。お隣は野村さんと長い付き合いのあるという浜松の竹炭師Uさん。野村さんが私たちに会わせるべく呼んでくださったのだ。

矢野さんの解説はいつになく長く熱が入っていた。

今日の1日でできる範囲の作業で全体をまとめるのが肝要。この植木鉢も空気が通るように置き直す。

せっかくなのでUさんに伏せ焼きをやっていただくことになった。

さすがに手慣れたもので、煙突のセットも下部に三ツ石を置いてき空気の確実な通りを確保し、

焚き口とのレベル差なども見ている。最初の煙は冷えていて上昇せず地面を滑り降りていくので、煙突の下口は焚き口と同じ高さくらいでよい。つまり台座の三ツ石のぶん、窯の底は煙突に向かって下がり気味になる。

炭材が載せられる。

トタンをかぶせて土をのせる。このとき私は窯焚き用の薪を探して野村さんに木工室に案内され、端材の場所を教えてもらうと共に、直々に木工室を案内してもらっていた。なのでトタンをかぶせるところは見れなかった。

その端材で着火。

ブロワーを使うがなかなか火が全体に回らない。

矢野さんが加勢して焚き口から気道を谷側に掘っていく。

炭材が生竹であること、煙突の長さが低かったこともあって、煙の引きがよくないようだった。それには吸引口に空気がスムーズに入っていくように、空気道を掘ってやり、追い焚きをして炎をブロワーで窯の中に送ってやるといい。

このとき風だけ送ってもダメで、焚き口で薪を燃やしながら炎の熱風を入れてやる。そうして窯の温度を上げて炭化を誘発させねばならない。ブロワーを止めても、煙突から勢いよく白煙が上がるようならまずは第一段階が成功だ。

この後、煙は青色から透明へと変わる。それが水蒸気が抜けきった炭化終了の合図で、煙突と焚き口の両方を閉じてしばらく寝かせてから窯を開く。

矢野さんが庭園内の草刈り・剪定の実演と解説に入る。

注目したのはパーゴラに伸びたつるバラの剪定方だった。絡み枝の密集部は穴を開けてもいいが、むやみに切ることをせず高枝バサミなどを使って枝の先端を絡ませて押し込むようにするのだ。つる植物は抱きつくところがないと落ち着かないんだそうで、こうすることでおとなしくなるという。

その後、ふらつく先端だけを切る。下部は若枝(ジュート)を切り、低潅木に準じた剪定をする。中の枯れ枝も積極的に落とす必要はなく、風が通り根が呼吸し始めると枯れ枝は自然に落ちる。

その後、沢の手入れに入る。河原に砂が堆積した部分に一筋の水脈を掘り、有機資材を入れていく。

沢の本流はバックホウで底に溜まった泥を掻き出していく。

掻き出しながら、直線だった流れをS字蛇行させる。

昼。分けてもらった弁当のおかずにご飯。そこに昨日の残りのカレーをたっぷりかける。2日目のこのカレーがまた絶品であった。

食後、河原に降りると先ほどの濁りが取れて、結果的にこんな流れに。左右に蛇行しながら小淵が連続する、小気味よい沢音がよみがえり、いくつもの渦流が連続するため泥アクがたまりにくい。

堰堤下の泥さらい。そして等速・分散をうながす掘り込み。

堰堤上部の風の草刈りが完了し、奥のスギ林まで風景がつながった。新たな水流の動きとシンクロして、心地よい川風が流れていく。

河原にオオセンチコガネを見つけた。美しい光沢を持つ糞虫である。関東では赤系に輝く個体が多いが、紀伊半島ではルリ色のものを見たことがある。京都の東側から滋賀県にかけてはこのような緑系が多いそうだ。

終了時間が迫る。母屋の上部にある小屋周りの草刈り。

小池の泥さらい。

U字溝の穴あけ。

ここは山の峰の終わりと田んぼの接点、しかも沢の合流点の岬のような場所。本来なら神社が置かれ鎮守の杜があってもおかしくない。

川風がその風景につながることで、庭や建物周りにも風が動き始める。

今回、野村さんが竹酢液のスプレーコーナーを設けてくれ、入館や作業前にはここの廊下で身体全体を噴霧してもらうのであった。

作業終了後、感想会、ライセンス講座と今後の「大地の再生」の展開を確認して終了となった。野村さんはこの地に研究所を構えて18年だそうで、数年前までは一人でこの土地の手入れをしていたそうだ。だから、私たちの手法は質と量的にはまどろっこしく感じられたかもしれない。また植物の知識不足でお気に入りの野草を誤伐したこともあったろう。

しかし「このような出会いを持っていたのだし、そのためにこの施設を作ったのだから、ここを君たちで自由に使いなさい・・・」とまで言ってくださった。私は木工室の土足で歩いた熱化学還元処理のスギ床の質感が忘れがたい。そして奥には棚田に植えられた真っ暗なヒノキ林が見えている。この叡智、この技術が日本の山林と木造文化の再生のために羽ばたいていくべきだと思った。

明日から3日間、三重県津市美杉町にある農園で引き続きライセンス講座が行われる。今夜中に移動し、またミーティングの予定であったが、散会後もライトを点けて重機を動かしていた矢野さんは、移動の直後眠さでダウン。先に向かった私の宿にたどり着けず、翌朝合流となった。

熱化学還元処理(TCR)


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