大地の再生が手がけている神慈秀明会・仙台出張所(以下「仙台秀明」)の庭作り。庭というよりも里山ひとつ・・・といった広大な敷地で、旧出張所から2回にわけて高木移植をしている。私は一昨年の10月から取材を始め、全部で8回の仙台行き。のべ取材日数は21日、これまで仙台だけで32本のブログ記事を書いている。
正門ができたというので楽しみにしていた。
矢野さんが懇意にしている新潟の宮大工さんが造られたそうだ。素材はここの工事で出た倒木。木口隠しの小屋根がかわいい。そして柱の面取りにチョウナがけの雄渾なハツり痕。もちろん構造的には伝統的な木組み・・・さすがである。
高木移植の何本かはこの夏が乗り切れず枯れてしまったものも出た。しかし根は生き続け、幹も完全に枯れ落ちて風化するまでは何十年もかかるのですぐには伐らない。風景として残し、ツタを絡ませるなどして活かしていく。ワイヤーを張っているのは台風による倒木被害を懸念してのこと。意外と目立たない。
駐車場には角材で目印ラインができていた。有機アスファルトもよく馴染んでいる。
露地との境界からは芝が吹き出してきたところも。この自然な馴染み加減がいい。
矢野さんは高木移植を通して「表層の手入れ」がいかに重要かを痛感させられたという。大樹の再生にはエアスコップなどで根の深部に空気層を作るのがセオリーだが、意外や表層5㎝の手入れが深部にまで影響を与えるというのである。
ということは、やはり移植ゴテとノコガマが有効なわけである。そして、小まめな手入れが重要なのだそうだ。考えてみれば、昔の人たちは大道具などは持たずに、小手先の小まめな管理を繰り返していたわけだ。
そして、冬の草刈りが意外に大切だという。冬は草の伸びが停止しているので放置しておけばいいと思うが、そうでもないのだ。
この茶庭もちょっとボサが目立つところがある。そこをちょっとだけでも刈り込んで整えておく。
風の通りが良くなり、刈り草はグランドカバーになって地表面を保護(保温)してくれる。目通りが良いことが大切なのである。
冬の草は丈が低い。それにはこんな工夫も。
ナイロンコードを下から出す。これ、畝溝を刈る時も便利なやり方である。
信者さんたちはさっそく畑を楽しみ始めたようだ(神慈秀明会は岡田茂吉の流れをくみ自然農を推進している)。
下玄関から茶庭へのアプローチ。石も植物もいい感じに落ち着きを持ってきた。庭の素晴らしいところは植物が日々生きていることだ。だから、庭師のセンス、手入れ一つでどうにでもなってしまう、とも言える。
ランダムな竹と石、植物のバランス。
樹勢が落ちてきた木の根周りにはすかさず点穴を。そんな場所も目立っている。やはり建物のコンクリート・ベタ基礎、舗装道路の砕石の締め固めは移植された樹木にとっては手痛い。
とくにマツは有機ガスに敏感で、夏季はとくにガスが出やすくのりきれない個体が何本か出てしまった。
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私は皆が作業する午後は車中で書類書き。なんとか完成して矢野さんのチェクを待つが仕事がなかなか終わらず、ついにエドヒガンはライトアップに(笑)。
チェックは車内に持ち越しで新幹線へ。12時過ぎに埼玉の宿に着く。明日は千葉に入る。
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