大地の再生@仙台秀明/街の大樹を移植する1-1


仙台は寒かった。予定通り現場には10時前に着いたが、矢野さんたちは移植地でマツの植樹をこなしているということだった。すでに旧出張所の建物は壊されており、更地の上にプレハブの小屋と外周にマツを中心とした樹木が数本残っている。これらの木々は、第一回目の大移植のときに道路や隣敷地に隣接して「移植は難しい」ために残された樹である。

特に通り沿いにある大樹はかなり太く、また樹高も高い。都市化の波の中で、様々な機能を持つ樹木が次々と伐られていく中で(ここは移植後コインパーキングになる)、これまで諦めていたこれらの木々をすべて移植しようと意思決定したのは、もちろん矢野さんであり、その移植のレポートを私に書いてほしいというのが「大地の再生」事務局の要望である。

事務局のNさんが来たので車で仙台秀明の移植現場まで運んでもらった。新たに植えられたのはやはりマツで、神殿1階の玄関に続くアプローチにまたしても門かぶりの松」のように植えられていた。

もともと個性的な樹形をしている斜めマツなのだが、矢野さんはこれを180度回転させて、馬で支えて枝を道側に飛び立たせた。この写真では分かりづらいが、まるで臥龍梅のような、迫力ある様相を呈している。

中央のシンボルツリー、エドヒガンザクラは蕾をたっぷりつけて開花を待っていた。しかし、ここはもともと分水嶺の峰で風が強く、そのために寒冷紗やコモ巻きで保護されている木が多数出ている。

フキノトウがたくさん出ている。さすが東北の里山のDNAがこの地に残っているのを感じた。

敷地のいちばん低い西端の、グライ土壌が深く出た場所には池が完成していた。これで地下水の抜けができて、流れがつながったので一安心である。

移送車やラフタークレーン車が入る道に保護シートを準備して、もう一度掘り起こしの現場に戻る。

東側の敷地境界、すでに根を掘り出され、コモによって根鉢がまとめられたアカマツが2本。

これだけのマツなのだが、地下部がグライ化しているため、直根はほとんどない。しかし、側根はかなり長く、隣敷地のコンクリートの中に入り込んでいる。

それをバールやチェーンソーで切っていくのだが、今回は手配違いで根切り用のチェーンソー(ダイヤモンドの刃がついており回転数も遅い)が入手できず、普通の刃を何度も研ぎながら使っている。

ある程度倒せる目処がついたところでクレーンで持ち上げる支点をつくる。幹が傷つかないように藁でコモ巻きして、スリングを掛けるのだ。

クレーンは親と子の二つのフックが付いている。親のほうに幹側を掛ける。

クレーンで引っ張ってもらいながら、チェーンソーを入れて徐々に剥がしていく。

それでも傾かない。そこで矢野さんが重機に戻り、ブレーカーを当てていく。が、ここはガス管が通っているそうなので、慎重に。

もし急激に倒れ始めたとしても、クレーンで吊っているために危険はない。ようやく根が動き始める。

一度倒しておき、

根元に別のスリングを巻いて、

そこに子のフックを掛けて、2本で吊る。

やや持ち上げてから枝の剪定をする。このままの幅ではトラックの荷台から大きくはみ出ているからである。

こうしてようやく荷台の上へ。

根鉢を運転席側につける。

根鉢が大きすぎ、荷台の側アオリに当たっているのでブロックで浮かせて調整する。

角材でウマを作り、末側を浮かせて枝を守る。またここではみ出すぎる枝は切るなり縛って引き寄せるなりして調整する。

ラッシングを掛けて固定し、積み込み完了。

(続く)


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