前夜は矢野さんと相部屋で葉山の宿へ。葉山らしい焼きたてパンと豊富な野菜サラダで朝食。窓から見える庭がかなり傷んでいる様子。朝食をとりながら矢野さんとその検証をするのだった。
ここ三浦半島は海岸線の周回道路からすぐ山が始まる。ということは詰まりも顕著だということ。海ぎわなのでスギ・ヒノキは少なく雑木林がほとんどだが、どこも枯れ木が目だちヤブ化がひどい。葉山に多い瀟洒な建物もこれでは台無しである。というわけで、このホテルの周囲の植木や庭の中低木もかなり傷んでいるのだ。
大地の再生視点からすればその構造的な原因は明らかで、手前の駐車場がコンクリート舗装のスロープになっており、そこが雨水の流速を早めて、庭に落ちた水を強引に引っ張ってしまうためだ。解決策は案外簡単で、この接続部分に抵抗柵を2〜3本も埋めておくと、それはたちどころに解消し、遠方に見える枯れ木さえ復活してしまう。驚くべきことだが、様々な場所でその効果が実証されているのだ。
もちろん、遠景の山の木々まで完全回復させるには、周回道路や建物に付随するコンクリート擁壁の改造が必要だが、まずこのようなところから手を入れ続けることも大事である。
さて、私がまず確認したいと思ったのはK邸の台風後の補修跡である。10/12に上陸した台風19号は関東地方にも広く被害をもたらしたがここ三浦半島の横須賀市の葉山も例外ではない。この現場も中央部が表層崩壊を起こしたのだ。4/14の施工からちょうど半年後のことである。
崩壊直後、矢野さんらはすぐに現場に駆け付け、土嚢設置や最低限の水切りなどの応急処置をし、その後本格的な補修作業を行った。手法的には杭と横木による土留め補修だった。赤囲いの部分がその崩壊跡の補修部だが、今ではほとんど馴染んでしまっている。
幸いだったのは再下段の土留め部が壊れなかったことで、そのぶん痛々しさが感じられず、むしろ地形に変化がついて、この崩壊がさらにより良い空気通しを導いてくれたように見えるのだった。
もう1つ見たかったのは縄文トイレ(風のトイレ)である。トイレ小屋は敷地の最上部に建てられていた。フレームは主に流木である。屋根はトタンを下地にした草屋根になっている。目隠しはこれからだが、草の葉などで目隠しすると雰囲気はまた違ったものになるだろう。
このトイレは8/18に「大地の再生暮らしの講座 -Kurasu-第1回」というイベント形式で行われ、その内容は後日web版『BE-PAL』でも紹介された。
>畳一畳分のスペースでできる、気持ちよくて快適な大地の再生流「風の縄文トイレ」
メンバーが集まってライセンス講座開始。今回はメンテナンスに関する学びになる。
高台の新居建設予定地の土嚢は復旧時に置かれたものだが、今回作業しやすいように移動する。が、直線的には片付けない。風道や水みちが通じるように意識して配置する。「土嚢の置き方にこんな細かい配慮まで・・・」と思うが、これが後から効いてくるのである。
土台が腐って傾いているバーゴラの補修。バールをテコに使い、角材や石を噛ませながら徐々に持ち上げていき、番線で止めていく。床も持ち上がってくるので束石(つかいし)も新たに押し込まねばならない。
矢野さんがこの半年の間に埋もれた水脈をメンテしていく。その解説の時間を持つ。
既存の樹木も表情がよくなって来たが、まだ点穴を追加。ハンドオーガーで掘る。
お茶の時間にロケットストーブ登場♬ こんな市販品が出るようになったのか・・。10年ひと昔だな。。。僕のロケットストーブ自作は9年前のことだった(ブログはこちら→)。
午後は矢野さんを主に隣の高木を選定する組と、
水脈メンテのふた手に分かれて作業。
伐採枝葉は縄文トイレの目隠しに差し込まれていった。
みるみるうちに・・・
縄文トイレはこんもりした「緑の洞窟」仕様に変貌♬
日が短い。夕暮れが訪れる。この敷地のもうひとつのご馳走はこの風景だ。
間隔をおいて皆でメンテした水脈に、矢野さんがチェックを入れ点数がつけられた。しかし途中で暗くなり、全員分は翌朝に持ち込まれた。
私は逗子駅まで送ってもらい、ひとり都内のホテルへ向かう。明日は出版社との打ち合わせがある。