葉山と山梨


葉山の御用邸のすぐ近く。ネットで見ると古い木造家屋なので面白そう・・・と思っていた民宿だが、ごく最近建て替えたようでばりばりの新建材住宅になっていた。部屋はスタイロ畳に壁・天井はビニールクロス、化繊のカーテン、窓枠もMDF(擬似木)。自然素材の建築設計をしているWさんも僕も、普段から新建材にほぼ無縁な暮らしをしているので、その化学臭をすぐにキャッチする(しかも布団は洗剤・柔軟剤臭が)。

新築で外見もスタイリッシュ、しかしその内部は化学臭に溢れている・・・というのが現代日本の家の常態である(だから24時間換気システムが法律で義務化されている)。地中からはグライ土壌が有機ガスを、家の換気扇からはホルムアルデヒド系の有毒ガスが常に排出され、そして排水には合成洗剤と柔軟剤。でも朝飯はさすがに葉山というべきか、しっかり豪華だった。

朝飯前にもう一つの現場を見せてもらい、粗腐葉土などを今日の現場、K邸に運んだ。神社の続きでかつて鎮守の森を切り拓いたような丘、この山林と新興住宅がせめぎ合う三浦半島において奇跡のように残されたと思える場所だった。

片隅に残る地のちからが植物に現れている。トキワツユクサも美しい。これは外来植物だが。

今日は矢野さんとチームのメンバーが来て、K邸造成工事の完成後初めてのメンテナンスを行う。そしてテレビ局の取材が入った。

私が前回取材に入ったのは仙台・三春の帰り道、早朝の撮影を終えて東北道から首都高に入り、葉山に到着したのは昼過ぎだった。午前中は講座の座学でまだ重機は動いていなかったので、工事の最初の半日分を見たことになる。

30度以上ある急傾斜地で、植栽土木で樹木をちりばめながら、Z型の歩道を入れ、最上部の平地(かつて家が建っていた)を少し掘り下げて住宅建設を見込んで整地する、というプランだった。

矢野さんは小型重機を操って、ヒノキ丸太や枕木で土留めを作りながら、道を開いていった。それがきれいに完成していた。下側の道についている既設のコンクリート擁壁には直径10cmほどのコアが数カ所抜かれ、斜面の空気通しを確保してある。

ただし矢野さんが見きれない部分で最後の仕上げに不備があり、午前中はその解説を交えながら、スタッフが修正工事を重ねていった。

昼は映画撮りしているMさんの取材と、テレビ局側の打ち合わせを兼ねて会食。海の見えるテラスのある「なぎさ橋珈琲/逗子店」へ。

テラス前に砂浜が広がっているのだが、ここは本来「白砂青松」(はくさせいしょう)の美しい砂浜だったはず。いまその砂はよどんだ青茶色。

河口では浚渫が行われ、その砂の色はグライ土壌の色そのものだった。そして砂は2台の大型運搬車によって海岸の奥へと運ばれていた。

この店の玄関前のマツも枯れており、周囲の山々は木々が傷んでいるのがはっきりと見てとれる。周遊道路やコンクリート擁壁だけでなく、三浦半島の小河川はほとんどがコンクリート三面張りと化している。

午後は朝見たもう一つの現場を矢野さんとともに再訪し、矢野さんの見立てを学ぶ。

そして私はそのまま矢野さんの車でスタッフのSさんと共に山梨へ向かった。来週から始まるお寺「昌福寺」の植栽(垣根造り)の下見であるが、なんとか暗くなる前に到着。

帰りに甲府盆地の夜景を見下ろす「みたまの湯」で食事。矢野さんの勧めで上野原のご自宅に泊まらせていただいた。猫が三匹いるのだが、残念ながら僕にはなついてくれなかった(笑)。

明日は豊橋の現場(屋上緑化)を見学してから帰る。

前々から事務局に「大内さんの取材記事を『大地の再生ホームページ』に載せさせてもらえないだろうか」という話があった。そっくり同じコピペを載せるのはネット上のルール違反なので、日記を分けて書くしかない。

というわけで、今回から「囲炉裏暖炉のある家 tortoise+lotus studio」では日常的な記事を、そして「大地の再生ホームページ」では専門的な話題に集約して・・・と書き分けることにしました。

技術的な取材記事はdaichisaisei.netで発信しますのでそちらをご覧ください。

【神奈川】K邸「植栽土木」造成工事


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