11月18日、今日から2日間、福島県三春町の福聚寺で「大地の再生ライセンス講座」が行われる。その後、追加工事を1日予定、翌21日を移動日とし、続いて22日から宮城県丸森町で「ライセンス講座<災害支援>」が3日間ひらかれる。
この東北旅にフル参加すると7泊8日となるが、私は前日自分のイベントでGomyo倶楽部に入っていたので、前入りができない。そこで夜行寝台の切符を取っておいた。イベントを終えて帰宅してから旅の準備をまとめ、その足で昨夜の夜行寝台「サンライズ瀬戸」に乗ったのである。
この寝台列車は高松が始発で終点は東京駅。車内にはミニラウンジがあって、狭いほうの個室「ソロ」を取ったときは、寝るまでの時間ここで過ごす。
「ソロ」はちょっと狭いのだが、キャリーバッグがなんとかぎりぎりで入り口わきに入る。その上にコンセントが一つ。
狭いけれど、流れる風景と適度な揺れがあると、この孤独なシェルターも苦痛ではない。かつて、日本中に走っていた夜行寝台列車は、新幹線や高速道路の発達、そして夜行バスや飛行機運賃の低価格化によって競合できなくなり、消えていった。このサンライズ瀬戸は「最後の寝台列車」なのである。
寝台列車を東京駅で降りて新幹線で郡山まで。そこから磐越東線に乗り換える。乗り換えで屋久島から参加したT君と同じ電車になり、駅から福聚寺まではタクシーで向かった。ちょうど、駐車場に集合して講座が開始されたところだった。
矢野さんたちはこの寺におよそ5年の歳月をかけて関わっている。
福聚寺は臨済宗の寺院で檀家も多く、したがって墓地面積もかなり広い。戦国時代の三春城主・田村氏の菩提寺でもあり、田村氏三代の墓もここにある。現代の墓は大きな暮石・縁石を使われており、その基礎の土留めも石組みであり全体にかなりの重量で土を圧迫している。矢野さんたちはその土留めの基部やU字溝にブレーカーで穴を開け、空気通しを回復させるところから始めた。
始めた当時は道は泥だらけであったという。この石垣の基部もアスファルトが突きつけされていたのだが、空気抜きをすることで呼吸が始まり、泥アクは消えて、所々に緑が萌え出ている。
苔が生え始めているのも土が呼吸を始めた証拠の1つ。
矢野さんが最初に頼まれたという斜面の道。泥が流れるので舗装してほしいという注文を受けたのだが、矢野さんは角材でステップをつけて周囲に水みちを分散させ浸透を促した。
微妙カーブの部分。時間が押して徹夜作業になったと、当時を振り返る。檀家さんたちにも全く理解されていなかった「大地の再生」手法を押し通した始まりである。
敷地内にはサクラの木が大変多いが、その多くがてんぐ巣病にかかり、弱っている。それも道の水はけを改善することで回復していく。
落ち葉の堆積した道に三つグワで水切りの溝を掘っていく。
落ち葉の掃除は切り枝の葉を使って。
反対側の車道に出る。アスファルトの道が寺敷地の外周を巡っており、これがまた水脈の止めになっている。
土留めはコンクリート擁壁。水抜きパイプはおそらく詰まっている。が、擁壁下を穿てば空気が通り始めるという。
最上部から未舗装の道に変わり、境内の雑木林の中に入っていく。
風の草刈りをシルバーさんたちに指導はしているが、まだ短く刈られてしまうという林内。
それでも再生の跡がそこかしこに。キクイムシによるナラ枯れも治りつつある。
左、まだ盛んなナラ枯れ跡。右、ナラ枯れが治って再生してきた木肌。
ボロボロになりだしたに根元にも再生のきざしが。
(2に続く)