上野原ライセンス講座11月その3/崩壊の裏丹沢登山(後編)


少し戻れば尾根に取り付くルートがあるはず。矢野さんと僕とで地図と読み込みながらその尾根ルートを探す。が、どうやら崩壊の余波で取り付きが消えているようだった。そこで道なき斜面から取り付いていく。かなりの急斜面、落石の危険アリでひやひやものだった。

でも、そんな中にもリンドウの一輪が。

なんとか道に出たが急坂が続く。しかも尾根に出ても帰りの下山ルートは保証されてはいないのだった。

それでも、ここまで来たら尾根に出たほうが得策。やがて展望が開け、丹沢のブナがお出迎え。低標高の中の、世界的にも貴重なブナ林である。

ついに尾根に出る。幸い天気は抜群、風もない。

しかし、尾根筋のブナはボロボロだった。

しかもクマザザが消えている。これをシカの食害のせいにしているが、矢野さんは違うと言う。

これでもまだいい方なのだ。檜洞丸のブナ林は数年前に全滅したというのだから。

三角点のある無名ピークまで進んでみる。富士山が出迎えてくれた。

皆の疲れと不安もこれで一気に消し飛んだようだった。しばし寝転んで休息をとる。

ブナとクマザザの衰退の説明を矢野さんに受けながら、尾根道を犬越路の峠に向かう。

枯れたクマザサの後にはスゲが目立ち始めている。地面の空気通しが詰まり、地表だけが湿った状態にスゲが適応する。丹沢は破砕帯の地質で全体に湿潤な山だった。山頂にブナの帯がある特異な生態系はそれによるところが大きい。それが変化し始め、ついに尾根にまで現れてきたのだ。

大室山の山肌に大きな崩れが3カ所見える。

今回の19号台風で崩れたものと見える。いずれも人工林の斜面だった。このような源流地帯の大崩壊は本来ニュースになるべきだがまったく報道されていない。おそらく19号通過点では日本中で起きていると思われる。

犬越路に着く。とりあえず一安心。檜洞丸をバックに記念写真。

あとは下るだけだが、登りで迷った場所(崩壊点)との接合部は注意してつないでゆかねばならない。ゴロゴロ石の沢の石の並びは水が法則的に配置したもの。それを感じておくように・・・と矢野さんが語る。

崩壊地のつなぎの部分は赤いリボンの目印ですぐに発見でき、なんとか全員無事に通過する。

今回でいちばんの紅葉が見えた地点。紅葉が美しくないのも詰まりが原因なのだ。

矢野さんは下りながらもスギの枝で登山道の水みちを修正していく。

登りで泥アクを取ったスギ林の沢水は澄み切っていた。さらに出口に修正を施す。

16:20、登山口に無事下山。ヒヤヒヤものの登山だったが、転倒者も落伍者も出ず、全員がけっこう元気なのだった。

ともあれ暗くなる前に車止めに着く。月が上がっていた。

▼今回の登山ルート。

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