上野原ライセンス講座11月その3/崩壊の裏丹沢登山(前編)


登山の日、いつもより早く朝6時に事務所集合。昨日のルートで神之川林道に入る。林道沿いで観察でき大きな崩壊地で車を止め、矢野さんがその崩壊の原因を解説する。支流にあるエビラ沢の滝を見るための東屋を作るために強引な土木工事を施して、それが大きな留めになった。その土石に埋もれた東屋よりも、枯れかけたサワグルミが哀れだった。

その上流、マス釣り場下流にある崩れ。これもその上流側にブルで道を作ったのが崩壊を誘った。

集合場所は崩壊地の車止め。その手前にある祠に登山の安全を祈願する。

道をはさんで広々とした平地があり、現在は砕石の山が見え事務所らしきものがあるのだが、気になって看板を読んでみると、ここにはかつて炭焼きの集落があり、分校まであったという。が、関東大震災で集落は壊滅。サクラと石碑が残されているのだった。

寄り道が長すぎて、埼玉組を長らく待たせて集合場所に到着。

歩き始めてさっそく土砂崩壊の解説に入る。

普通なら入山禁止は必至。ある意味こんな体験はなかなかできるものではない(笑)。

しかし、自然の水の流れが作った造形には意味がある。流木には矢野さんのよく言う「しがらみ」が具現されている。空気や水を通しながらしっかりと組まれた木組みである。

土石流が作った石の造形。まるで現代美術を見ているような、渦と曲線の造形が不思議だ。

8:45、登山口に着く。大きなトイレ・休憩所があるが、道の上に土石の残骸がこの通り。はたして登山道は大丈夫なのか?(大丈夫なはずがない!)まあ行けるところまで行ってみようと、トイレ休憩を入れて出発。

しばらくはコンクリート舗装の道が続くが、すぐに水流の溝が穿たれた荒れた道になる。

スギ林から流れ出てきた水流に泥アクが溜まるのを見て、矢野さんが移植ゴテで泥かきを始める。スギの枝や枯葉で詰まった出口を解放し、泥を流してやる。それだけで上流側のスギ林の地中の空気が動き始める。

そのスギ林はあるていど間伐が施されているというのに、下層植生がほとんどない。それでも部分的に下草の帯が見えるので、問題は照度ではないのは明らかだった。沢の詰まりだけでなく、直線的で雨が降れば水路になってしまう登山道そのものにも原因がある。それを丹念に手入れして解消してやればよい。

道標が土砂にずっぽり埋まっている。さすがに矢野さん苦笑。

ヒノキ林の中の急登。なかなか気持ちのいい道。

しかし人工林の崩壊跡がかなり目立つ。

これもヒノキ林だが、やはり下層植生がほいとんどない。

すでに表土が流れ、小石だらけになり、根が浮き出している。

そんな山林の道に、矢野さんの指導で水切りを皆でやってみる。

本来植えるべきではない沢筋にも植林が為されている。ここは水を好む広葉樹の自然植生を残しておくべきだ。

沢筋に沿った登山道。その沢は所々崩壊していて、トラロープが張ってある。ここで我々はロープに導かれるままに、犬越路へのルートを外してしまい、隧道側の林道へと進み始めてしまった。

ところがその隧道のトンネルも崩壊で分からなくなっており、林道とも登山道ともつかない道をかなり東側に進んでしまったのだった。崩壊した沢を慎重にトラバース。ぶだんこんな道を歩いたことがない人も多数。しかもみな長靴履きである。

矢野さんが尾根ルートからの外れ具合に気づき、IさんのスマホがGPSを捉えて、現在地が確認できた。

ちょうどいい広場があったので、とりあえずここで昼食とする。

昼食のおにぎりはスタッフ3人で4時起きして作ったものだ。中身はウメオカカ。キンピラごぼうや漬物も持ってきた。

赤点が午前中歩いたルートである(国土地理院地図より)。

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(後編に続く)


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