「大地の再生」ライセンス講座@上野原2020.5月/2日目・丹沢登山(前編)


下見を兼ねて矢野さんと2人先に出発。まだ雨は落ちていないが丹沢山塊には雲が垂れ込めているのが見える。右手奥の独立峰が西丹沢の大室山(1,587m)である。

やはり前回の車止めまでしか行けなかった。しかし瓦礫は片付けられており、軽トラが通れるくらいのスペースは広げられている。

コンクリートの法枠工が最上部から崩壊した、その残骸の量感は凄まじいものがある。ここは道がやや湾曲して水が出る谷地形になっている。しかしグレーチングで道をまたいでいるその出口のサイズが小さい。道自体もこの山間部にしては大型トラックが楽に通れるほどの大きさで、それが巨大なせき止めになっている。もちろん崩れたのは上部の手入れ不足の人工林にも問題があるだろう。

泥道で長靴が取られそうだった道も片付けられて歩きやすい。雨が降り始める。

川は砂利石に埋め尽くされた渓相が続く。

長者舎付近のヒノキ林崩地。

沢はコンクリート管で道をくぐるのだが、当然ながら流木で塞がっている。

それでも前回に比べたらずいぶん片付けられているのだ。ところでこのヒノキの倒木だが・・・かなり立派なものだ。

年輪を数えてみると70年生を超えている。直径は30cmほどもあり、柱どころか横架材が採れそうなサイズである。なんともったいないことをしているのだろう! このサイズなら太鼓挽きすれば素晴らしい梁材が採れる。実は、いま日本の人工林にはこのような太材が大量にある。しかしここ数年、各所で大崩壊がおきて捨てられている。

しかし、このような太材(業界では中目材※という)きちんと収穫したとしても、現在の建築や住宅建築の産業構造では使い道がないのだ。いや本当はあるのだが、使ってもらえないのである。こんな材が普通に組み込まれるような建築文化を取り戻さなきゃダメなんだよ! とつくづく思う。

※中目(なかめ)材:丸太の末口径(丸太のこずえ側/細い方の切り口)が20~28cmの木材。

堰堤が連続し始める。

後続の参加者が合流。このような荒れ沢でも流れに手を入れれば周囲の植物は元気になる。矢野さんがその流れのルートを解説する。

神之川ヒュッテのトイレは使用不可になってロープが張られていた。浄化槽のついた水洗トイレなのだが、水が止められているようだった。過剰な草刈りで広場の木が弱っているところをすかさず手入れ。

今回の矢野さんの道具は長い柄のついた「草取り鎌」というもので、厚手のステンレスで頑丈そうだ。これで水切りなど登山道の水脈整備もできる。

今回のルートは犬越路には登らず神之川の林道を東に進んで、途中から尾根を登る。稜線まではかなりの高低差と距離があるので、途中ふたたび林道に出たらそこから林道を下って戻るか、途中から尾根伝いに下りてみようということになっている。

この林道は犬越路隧道につながって西丹沢方面に抜けれるものなのだが、このように崩壊カ所がたくさんあって、前回は犬越路隧道の北口も確認できないほどだった。

ネットでこのルートを2018.5月に犬越路隧道〜西丹沢へ自転車で走破した記事を見かけたので、これだけの大崩壊が起きたのは近年2年間内ということになる。

シカの食害も目立つが、それがいい感じに風通しを作ってくれている。

色の悪いコケと枯れ草。緑萌える5月の中頃にこれは異常。

矢駄尾根への分岐に到着。別名「熊笹の峰線」というらしいが、現在丹沢の尾根筋のクマザサは壊滅状態になっている。そしてブナももはや最後の生き残りがなんとか立っているだけ。

ここから一気に急峻な尾根道になる。

ここから林道の出会いまで標高差300mの登り道となる。

YAMAKEI ONLINEより、緑点は筆者

(後編に続く)


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