秋の屋久島4-2./一湊エコビレッジの変遷、屋久島講座終了


一湊に着いたのは既に11時半。皆は海岸に出て、沢の河口で点穴を掘る作業をしていたそうだ。今日は午前中で終了なので残りわずかな時間だが、エコビレッジの敷地を皆で整備する。

布引の滝の駐車場に車を止めにいき、沢を観察する。ヤブ化はすっかりおさまっており、植物それぞれの固有の姿がはっきり感じられるようになった。

川風も流れていてクモの巣がほとんど見当たらない。過剰や落ち葉の堆積や泥アクだまりも見られない。釣り師が入りたくなるのはこういう川だ(笑)。

橋の上から見たエコビレッジ敷地。皆が作業を開始した。

橋のたもとにもサキシマフヨウが。これは白花だった。ピンクまでの微妙な階調があるようだ。

敷地の草もすっかりおとなしくおさまっている。こうなると周囲の手入れも非常に楽になる。

昨年の4月、最初に手を入れた水脈はコルゲート管を使わず、有機資材も枝葉ではなく周囲の廃材を使った。そして炭は現地で廃材を燃やして作った消し炭。こうして、廃材の片付けと水脈の創造を同時進行し、空間に風の草刈りを施していった。

その2つが功を奏して雑草の育ちは穏やかになったが、簡易な水脈は土に埋もれメンテナンスが必要になっている。しかし、今回は時間もない。矢野さんはイノシシが掘るような重機の動きで埋もれた水脈を開削していく。

ヤブ化がおさまると、固有の植物がくっきりと立ち上がってくる。斜面にソテツが2株立ち現れてきた。ソテツは観葉植物として見慣れているが、ここ屋久島では自生する(自生地は九州南端・南西諸島〜台湾・中国大陸南部)。奄美や沖縄など南西諸島ではソテツの幹から澱粉を取り出して食する伝統があり、飢饉の際には救荒食とした。

ナンバンギセルの株を見つけた。 ハマウツボ科ナンバンギセル属の寄生植物でイネ、ススキ、サトウキビなどの根に寄生する。葉緑素が無く、寄主の根から吸収した栄養分に依存するという珍しい植物だが、花もなかなか美しい。名前の通り花茎がキセル(煙管)に似るが、万葉集では頭を垂れて咲くその姿から「思ひ(い)草」と詠まれ、古代から親しまれている花だ。

ヤブ化がおさまると、そこに長く眠っていた植物が新たに芽を吹き始める。それこそが高度成長期の列島破壊以来、私たちが忘れてしまった日本の真の自然の姿なのだ。パワフルな屋久島はその再生の反応がとても早い。

1時15分、ちょっと時間が伸びたがこれにて終了。皆の感想はすこぶる充実した屋久島講座だったようだ。

不思議なことに「一年に366日雨が降る」と言われる屋久島で、この4日間はほとんど雨に遭わなかった。

ご褒美は、今回もまた再開をはたした「かもがわ」の竹の葉弁当♬ ふっくらおにぎりとトビウオのさつま揚げが秀逸。

矢野さんらは夕刻の飛行機で鹿児島へ。私は明日のイベントを控え、Mさんとやっちゃん親子を乗せて、EKAMの湯泊ゲストハウスへ向かう。


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