秋の屋久島3./エコビレッジEKAMにて


屋久島3日目。屋久島の南端にあたる平内の農地で果樹園の再生を目指し、古民家ゲストハウスも運営するエコビレッジEKAM。その敷地面積は2ha(6,000坪)。眼前に海が見え、振り返れば屋久島の峰々がそびえ立つというダイナミックな敷地だ。農道の奥にモッチョム岳の岩峰が見える。

前方には水平線。つまり斜面が真南向きの農地。

前回、私たちが焚き火をしてご飯を食べた場所に小屋が建っていた。もうすぐ完成のようだ。

ヤギがいて・・・

鶏がいる。

地元の方も含めかなりの人数が集まった。輪になって自己紹介から。

EKAM代表のあいかさん。前回は矢野さんの見立て。今回がいよいよ風水脈の工事である。その思いを熱く語る。

まずは敷地を周遊して・・・

矢野さんの解説を聞く。この農地は慣行農法が行われた後、数年放置された場所。農地だけでなく、周囲には雑木林があり小沢が流れている。

サキシマフヨウが自生していた。

ヤブのすそに生える灌木である。こんな感じで咲いているのだ。

しかし、野生種とは思えない艶やかさだ。

森に一歩入ればアコウのこのような姿も見ることができる。

早めの昼食をお弁当でとった後、矢野さんが重機で道の脇の尾根を掘り始める。

どうやらトイレを作ってくれているらしい。落ち葉の腐葉土の蓄積もあるし、風の通る場所だからここなら分解も早いだろう。浸透してもここなら汚染の心配がない。

ブルーシートでぐるりと囲って完成。ところで、講座全工程終了の翌29日、私はEKAMで「エコトイレと小屋作り」をする予定だったのだが、これでトイレは作る必要がなくなった。

次いで、道に抵抗柵にもなる水脈を入れ、U字溝につながるようにブレーカーで側面を壊していく。そして当然、底の穴あけも。

後続はすかさず炭と有機資材の挿入。

畑地の周囲にも水脈溝を掘っていく。

このブッシュの奥(下)には沢が流れている。沢風が畑とつながるように周囲に風の草刈りを加えて、ブッシュに風みちを開ける。

矢野さんに呼ばれて飛んでいくと、グライ土壌が出た場所があったのだった。やはり詰まっているのである。慣行農法で農薬などもかなり使われたのかもしれない。

畑にはすでに様々な果樹の植樹の跡があったが、あまり育ちがよくないようだった。「まだ植えるのはかわいそうだ・・・」と矢野さんが言った。畑の雑草の中にサキシマフヨウの実生苗をみつけた。すでにつぼみをつけている。この花、毛のついたタネをけっこう大量につけるというから、風で散布されていくのかもしれない。

やはり、この農地でいちばん問題なのはこの直線の農道だろう。大雨のときはそのまま川となって道の上を一直線に流れていく作り方だ。そこに、丁寧に水脈兼抵抗柵を入れていく。

ぼちぼち暗くなってきた。地元組は散会する。

しかし、大地の再生組はライトを点けて軽油がなくなるまで重機を動かし続けるのだった。

宿に戻る途中に小野間(おのあいだ)温泉がある。そこでたっぷり温まり、今宵もタクゾーさんの料理をいただく。今日はレンズ豆入りのキーマカレーだった。

明日は最終日。一湊のエコビレッジを目指すが、その前の早朝に海岸沿いのガジュマルを見にいく。


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