「彼女」、筑波山、家系


18日から3日間、京都で「大地の再生プレライセンス講座」が始まる。これには企画段階から参加していたので、撮影・取材スタッフとして全面協力することになっている。それでコンデジRX100M7を新調した次第なのであるが、この講座のレジメや配布資料を作るに当たり、矢野さんの原稿が例によってなかなか出て来ない。

ふと思い立った。16日は前々からぜひ見たいと思っていた茨城の「しもだて美術館」展覧会最終日、これに間に合わせ、翌午前中は千葉の台風被害を(とくに山林の被害状況を)見に行く。そして矢野さんの事務所のある上野原で付き合わせしてレジメ・配布資料を作ってしまう。

というわけで前日深夜にアトリエを出、途中SAで仮眠を繰り返しながら、なんとか閉館の2時間前に美術館に着いた。漫画家・イラストレーター江口寿史の「彼女」展。この展覧会、ツイッターで評判を追っていたのだが、とにかく絵がすこぶる良い!

常々、現代日本のアニメには辟易していた。ちまたに溢れる坊ちゃん向けアニメは言わずもがな、誰もが絶賛する例の巨匠の作品にしても何か弱々しいロリコン臭を感じてしまうのだ。だが江口寿史はちがう。漫画の成長がアニメ臭に傾いておらず、むしろ本物のアートに昇華している。その線や色彩は繊細だが、同時にピアノ線ように槍のように、力強く鋭い。

で、この展覧会、何が凄いかって、写真撮影OKなのだ!

江口漫画がギャラリー空間のなかで、ポップアートに生まれ変わる。

ウォーホールやリキテンスタインのように・・・。ああ、しかしセンスが合う。センスが合わない美人画は瞬殺で離れたくなるが、江口は真逆だ!

ずっと佇んでいたくなる空間。

さりげない街角の日常なのに、絵から高貴な香りが漂ってくる。

細部。

初期の漫画原稿。『すすめ!!パイレーツ』『ストップ!!ひばりくん』で一斉を風靡したが、その遅筆や作品放棄は有名で出版界を震撼させた(笑)。

デッサン。

その庶民寄りのファッション性も特徴的なところ。だが、それをアートに昇華させてしまうのだ。

さりげなくキュート。

「女に生まれなかった悔しさが、絵の原動力になっている」

ワインボトルを持つ女性像。

どうよ?これ。

うう絶品!・・・

音楽好き。

ヤマハのギター、よく描けているな・・・。バイク物もあった。

一瞬のポーズのすばらしさ、脚が美しい、もう言葉も出ない・・・。

最終日、閉館間近。会場を出ると夕日が「彼女」たちを照らしていた。間に合った、来てよかった・・・。高松〜下館間、770km、事故渋滞の一つにでも巻き込まれたら、入館時間に間に合わなかっただろう。

「しもだて美術館」は平成15年11月に開館。設計は池原義郎(1928~2017)。なにやらディテールにカルロ・スカルパを感じる。

懐かしの故郷、筑波山を見て・・・

千葉に入って見つけた家系を食べて、

湾岸エリアのホテルに投宿して、昨夜の睡眠不足を取り返すかのように、泥のように眠った。


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