前夜は深夜3時近くまでミーティングが続き、私はもう一文を起こさねばならず、早起きしてパソコンを打つ。矢野さんが近所を歩くというので着いていった。この古民家の近所に、徳昌寺のGさんの母屋を造ったというK工務店があり、前夜は社長さんがこの古民家を見に来てくれ、そして駐車場をお借りした。
地元材、自然乾燥、手刻み、石場建て、という伝統工法を今も守っている工務店なのである。矢野さんは徳昌寺のメンテナンスに関わりながら、相変わらず工務店と一悶着起こして、今は社長と仲がいい(笑)。
工場を見せてもらった。柾目の杉材の端材で建具を作っている。展示用の有孔ボードの代わりになるものを創作しているそうだ。私が香川から来たというと、六車工務店をよくご存知だという。奇しくも私の関わる「Gomyo倶楽部」の近くに、彼らのプロジェクトが完成したばかり(こちら)。奇縁は続く・・・。
K工務店が建てた徳昌寺の母屋である。むくり屋根で重厚感あふれる建物だ。伝統的な工法でありながら、モダンさも感じられる。
当初、工務店はこのテラス前に風を遮断する基礎を置いて建物側に湿気がこもっていたという。それを矢野さんらは玉石と生垣・竹垣に直した。風が通る軽快なものである。水脈も入れているので、生垣の樹木の成長は穏やかだ。
夜間用の野外照明とばかり思っていたら、近づいてみるとキノコだった! ハラタケ科のマントカラカサタケ、その幼菌である。この後、20㎝以上にもなる傘を開く。私の手元にある図鑑では「食毒不明」となっている。
今後のメンテナンスの指導と次のプロジェクトの計画地を皆と回って、車内で原稿を書き上げて矢野さんにチェックをもらい、私は皆と別れて車を出す。近江八幡のスターバックスでWi-Fiをつないで事務局に書類を送り、その後もう一件、古民家再生についての打ち合わせ。ここ数ヶ月、不思議なことに新たなコンタクトが次々と現れる。
その帰り、京都に立ち寄って移植可能な樹木を見てきた。この公園の一部に建物が計画されており、仙台のときと同じように伐採・抜根されてしまうというのだ。これをウチのアトリエに移植できないか・・・。
すてきなユリノキに惚れ込んでしまった。が、予算はクラウドファンディングで個人がまかなえる額ではとうてい足りそうにない・・・。
さて・・・。
深夜に無事アトリエに帰還。高松〜上野原〜浜松〜豊橋〜近江八幡〜京都、4泊5日、走行距離1,700㎞の旅だった。