大地の再生@仙台秀明/街の大樹を移植する2-2


仙台2日目のハイライトはこの道側の大木だ。とりあえず倒れないようにかなり上部に支点をとり、クレーンで吊ってもらった。これで一安心だが、側根が道側と民家の敷地にどれぐらい入り込んでいるか・・・壊してしまわないかと心配である。

クレーンでテンションをかけながら、道側と塀のきわを、ブレーカーで攻めていく。

道ゆく人が珍しがって見ていくので、車や歩行者にも十分注意しなければならない。

チェーンソーで根切りにはいる。

ところが、案外あっさりと動いてしまった。道側と民家の敷地には、横根はほとんど無かったのだ。

それでも倒すのは慎重に。念のためもう一つの支点をとり、スリングを重機に噛ませて2方向で支える。

無事に倒伏。

根の裏側は直根がまったくなかった。長年のグライ化で根が腐っているのが分かる。

民家の塀側にはコンクリートの頑丈が基礎があり、その下に貧弱な根が刺さっているだけだった。

しかし側根は太く頑丈で、ブレーカーとチェーンソーがなければ太刀打ちできない。

荷台に乗るサイズまで土を落とし、出すぎた根を切り、根巻きをする。

枝を落とす。

トラックに積む前に、先端の年輪の写真を撮った。地上から12mの部分の断面である。

年輪を数えてみるとおよそ80年生だった。根ぎわはもっと太いので、実際は85〜90年生程度のマツだろう。写真を拡大して10年ごとに年輪をプロットしてみると、樹齢30年あたりから50年くらいまでの20年間、年輪が詰まっており、成長が鈍っていることがわかる。

おそらくこの時期に、道路と宅地造成によって、根の一部が切られたのではなかろうか? この敷地のマツは、この地が雑木林だった頃から生えていた木なのだろう。その記憶を残す貴重な木なのだ。

いま全国各地でこのような木々が、簡単に伐られ捨てられようとしている。緑地は緑地として木々を保全する動きはあるが、宅地には太い木は残さない。仙台もまた、残念ながらその2極化が鮮やかに見える。

ガラス建築「せんだいメディアテーク」とそれに対置するケヤキ並木。森林公園や湖沼公園の緑をちりばめながら、住宅地の中はコンクリートだらけで大木どころか畑さえ残さない南光台。それらが象徴的に思い出される。


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