三春ではいつも温泉に入りに行く「若松屋」に泊まらせてもらった。ここの湯はラジウム泉で有名らしい。翌朝、宿で朝食をいただいてから福聚寺の現場へ。かさ上げした寺の入り口はさらに馴染んでおり・・・
前後の鉄板も外されて土・炭・砕石・セメント・有機物などを混ぜたもので擦り付けられていた。
浄化槽周りの石組みも落ち着いた佇まいに。夏には植物の緑に囲まれることだろう。
目を見張ったのは土手に面した2階建ての建物が取り壊され、広場が出現して大きな枝垂れ桜が全容を現していたことだ。しかも枝の表情が生き生きとしている。
この桜前のスペースはお茶会や能の観劇などに使われるそうだ。植栽や石などない芝生的な空間になるだろう。
岩手のルーデンス農場でお会いしたYさんが来ていた。大地の再生の主力メンバーとして働いてくれることになったのである。
建物周りの雨落ちも完成していた。
庫裏周りの縁石と雨落ちは、その石の配置からしてずいぶんもめたらしいが、矢野さんの意向を通してなんとか納まったそうだ。
縁石の外側が雨落ち(屋根から落ちる雨水を受けるスペース)にはセメントに土と粗腐葉土、骨材をまぜた「土モルタル」で耐水溝を作り、その上に炭・砂・砕石などを載せて水の好きなセキショウを植えてある。
コンクリートのガラを小石のようにばらまいてあるのが、自然な感じでいいと思った。縁石の土台側にはきわに竹などの有機物が挟み込まれ、空気孔を作っている。
庫裏と本堂に囲まれた中庭的なスペースの土移動にかかる。
床下から土を移送して玄関前の盛土スペースに運んでいく。
矢野さんはシルバーさんたちの仕事をサポートして、上部の土や落ち葉の移動の仕事にかかる。
ここまで上がると雪をかぶった安達太良山がよく見える。
下りながら矢野さんが環境の変化の解説をしてくれる。ヤブが鎮静してマツが回復してきたこと。
地中の空気が動き始めてアスファルトに割れ目ができ、そこから植物が生え始めていること。
クロチクの表情がよくなったこと。
植物の変化はその新芽の発色の鮮やかさや、実の風合いなど油を含んだツヤに出てくる。
以前、資材を根本に置かれて枯れかかっていたヤマボウシに矢野さんが手を入れていたが、枯れてしまった・・・と思ったら、これはまだ復帰できるそうだ。幹の皮に爪を立てると水が通る青々さが見えたし、枯れた表情にもドライフラワーのような油の残った感じがある、と。
庫裏と本堂の中庭に小型重機を入れていく。水路を掘ってぎりぎりの高さで通過。
ここはどう見ても詰まりやすい空間。声の反響もびりびりと響く感じがする。水路に落とすような溝を、重機で中央に穿つ。
残土は一輪車でトラックの荷台へ。
結構な量のコンクリートの塊が出てくる。
ブレーカーやハンマーでそれらを壊しにかかる。
暗くなって投光器とヘッドランプ。
やはりグライ化した土も現れる。ある程度掘り進むと、この空間の音の響が変わったのが解った。地中の空気環境は上層の音にも影響してくる。
例えば能楽の楽器(笛や鼓、太鼓)の音の響きは、建物や周囲の環境に大きく左右される。能楽は照明や舞台装置が単純なだけに「音」が非常に重要な要素になってくるのだが、現代の能舞台はそこまでの考慮がなされていない。
今日は昼夜とも三春の街でまったり外食。昼は寒かったので「三條屋」で五目あんかけラーメン(ここはソースカツ丼が名物らしいが)。
夜は「味の郷 こばりどん」という変わった名前のレストランでハンバーグを。
三春も深いですね。桜の時期に再訪するのが楽しみだ♬