畑のミツバは昨年タネから育て、年越ししてふたたび芽を出してきた。しかし春先は良かったが、夏になると葉がごわごわと固くて食えない。そこで間引きの手入れもせず放置しておいたら花が咲き始めたが、同時にキアゲハの幼虫を見るようになった。
キアゲハはセリ科の草ならなんでも食う。ニンジンについたこともあるが、このミツバで彼らを育ててみるのも面白いと、そのまま様子を見ていた。ところが幼虫が大きくなるにつれ、小さな2畝のミツバはことごとくボロボロになり、丸裸になり、キアゲハの幼虫は大きく育ったものの、蛹になる前に消えてしまった。
どこか日陰に入って蛹になれたのか? それとも餌が足りなくて餓死したのか? あるいはハチなどの天敵に持ち去られたのか?
私は昔東京のアパートで暮らしていた時のことを思い出した。ベランダでヘンルーダというハーブを育てていたらアゲハが産卵に来て、やはり幼虫が葉を食べ始めたのだ。それが面白くて最後まで育ててやろうと思ったら、葉の量が足りなくてアゲハの幼虫もハーブも両方ともダメにしてしまったのだった。
ところでアゲハとキアゲハは姿はとてもよく似ているが、アゲハはミカン科でキアゲハはセリ科に依存する。ミカンとセリはどちらも香りの強い植物だが、近似的では全くない。不思議なものである。
植物が混み合ってくると虫がはびこるのは、自然の自浄作用なのだろうか。いま、夏の強い日差しの中で、畑に残した外来種の紫の花にこの二つのアゲハがよく訪れている。
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連日猛暑が続く。そのせいか海に霞はなくバルコニーからの眺めが美しい。
船が行くのを眺めるのが好きだ。
もう一つのLOGOSチェアをやはり室内に引き取り、2階に上げることにした。