前夜は矢野さんと大地の再生メンバーとともに、博多駅前のホテル泊。レンタカーで朝倉へ。昨年の九州豪雨の被災地である朝倉で、梨畑を再生したのが6/25。そこが、今回の西日本豪雨でまた泥をかぶってしまったという。しかし九州支部もへこたれない。「大地の再生 結いの杜づくり 『土砂被害後の初動の取り方』」というタイトルで講座を立ち上げたのだった。
山道に入る前にすでに山肌の崩れが見える。前回のダムから回る道は通行止めになっており、支部のメンバーが別の道を案内して現地へ。途中の川。
崩壊跡。
これは大きい崩れ。
現地に着く。なんと・・・
流れ込んだ泥が道をまたぐ暗渠を塞いで、そのまま溢れて道の入り口から流れ出た跡がうかがえる。
工事後にホタルの飛ぶ姿を夢想させてくれた流れもこの有様。上流に残っていた泥だまりが今回の雨で決壊したのだろう。
前回の参加者の顔も見えた。が新しい方々も多数参加されていた。矢野さんの考えは明るくポジティブだ。自然が運びたがっている土砂がやってきたと思えばいい。これだけの土砂を工事で動かそうと思ったら大変。自然はこのようにして安定地形を作ろうとする。
だからこの地形を生かして、最小限で最大の効果を生む施業をすればよい。泥堆積の多いナシの木は移植するために針金を切っていく。
参加者はまず泥の上を歩きやすいように枝葉などをリレーで敷いていく。
矢野さんはシュロの木を倒してそれを足場に、竹棒で暗渠を突く。が、なかなか水は引かない。それでも道路の反対側に回ってみるとU字溝にいくらかの水はほとばしり出ている。
ポンプで水を引くことにした。
矢野さんはまた土砂を浚渫して谷川を作りにかかる。
傍で見ているともう「不屈の人」という感じである。
前回の力作の杭と竹の土留めもこの通り。しかし、自然の威力もすごいが重機の威力はすごい。この重機をいかに繊細に知的に、センス良く使っていくか、ということが、これから非常に重要になっていくだろう。
手が余った女性陣は風の草刈りマスター。
矢野さんが倒木ヒノキをチェーンソーで伐る。
それを転がして堰堤を作るようだ。
まず大きな池を作り・・・
斜めに根付き丸太を手前側に持ってくる。
矢野さんの支持で丸太の下流側に有機物を投げ込む。
池を深掘りしながらその土砂をその上にかぶせる。
出来上がった堰堤の根っこの出っ張りをチェーンソーでカット。こういう処理は細かいところ。
最後にさらに深掘りしておく。現代土木では堰堤は流れに直角に作るが、大地の再生流は斜めに作る。斜めや蛇行は川にとってきわめて重要なのである。
下流に回った二人。
命綱をつけて下流から暗渠のゴミを取ってみようという作戦。
かなり奥まで入っていく。
石や木などを少し出した。流れはやや太くなった。びしょ濡れである。ものすごく暑い日だったのでいい気持ちかもしれないけれど・・・この二人も「不屈の人たち」である(笑)。
梨の木の周りに小型バックホーで溝切り。
矢野さんは沢を作り終えて園内のバイパス作りに入る。
沢水が澄み始める。
やはり澄んだ水はいいものだ。また、ここに緑が戻ってホタルの飛ぶ姿が再び浮かんできた。
しかし、沢と溝を掘り進むたびに、地面がみるみる乾いていくのが印象的だった。
矢野さんたちと同じ新幹線で帰るつもりにしていたが、逆算してみるとそろそろ動かないと今日中に高松に帰れそうにない。メンバーに高速バスの乗り場まで送ってもらった。博多駅で山笠を見てから新幹線に飛び乗る。
なんとか11時前に家に着く。明日は私のイベントなのだ。男木島で講演と木工のワークショップをやる。