男木島・講演&木工ワークショップ


昨夜、新幹線とマリンライナーで九州からなんとか高松に帰り着き、今日はバタバタと準備して12時の船で男木島へ。夏休みに入って連休、明日は海の日、めおん号のお客さんは多かった。

高松から最も近い島、女木島は私のアトリエのバルコニーからもよく見えるが、港のそばに砂浜の海水浴場があって人気なのである。しかし、女木島も前回の大雨で崩れた箇所が見えた。

男木島が近づく。

上陸。だんだん好きになってきました瀬戸内のぼよ〜〜んとした海の風景。

講演は石垣の時とおなじ、小林さんの運営する体験民宿「ドリマの上」の和室にて。今回はプロジェクターなしで。そのかわり大工道具はたっぷり持ってきた。

今回は、国産材とインパクトドライバーがテーマだが、やはり日本の木と日本の優れた大工道具を紹介せねばならないのである。

船で渡る島という条件ゆえ心配された集客だが、後半にバタバタと増え、なんとかいい感じに。皆、熱心に耳を傾けてくれた。道具の解説だけで1時間はあっという間。

その後の木工ワークショップは隣の改装中の古民家を借りて行われた。

郵便受けを作りたいのだけど、ザラザラな表面を磨きたいというのでヨキによるハツりを提案。初めてでもなんとかなるものだ。

こちらも人生初カンナに挑戦。

そして、みんな初インパクトドライバー体験♬ これの凄いところは9㎝のロングビスが打てるということ。縦打ちで脚に木口から打ち込んでしまうと、イスなどが簡単に作れてしまうのだ。

木材と道具の提供で協賛の高松の有名ホームセンター「西村ジョイ」の社員の方も来てくれて、指導を手伝ってくれた。大感謝!

ハツり板を上に出した郵便受けが完成(あとで蝶番を付けるそうです)。この女性はなんと大阪から夫婦で島に移住した人で、僕の本の読者だった!

立派な本箱完成。夏休みの宿題できた? お母さんも作ればよかったですね。

僕の新著の作例を踏襲した3本脚のイス。かなり完成度の高い作品ができましたね、

こちらはスノコ。節の斑紋に魅入られた? わざと互い違いにしてリズムを楽しんでいます。

予想どうり、案外皆ヤルのである。ワークショップは大盛況のうちに終了し、作品を持って船をお見送りし、お泊まり組は海へ。小林さんは薄手のウェットスーツ様のものに着替えてやる気まんまん。お隣の女性は兵庫県の佐用町で古民家レストランを営む方で、やはり僕の本の読者。泳ぐ準備してます♬

ちょうど潮が引いて、ウニや貝やカメノテや海藻がザクザク採れる。はっきり言って、あの屋久島の海よりずっと豊かなのだ。この島にはコンクリートを使った港は2箇所しかなく、周回道路もない。

小林さん、潜り始める。水は西日本豪雨の影響か少し濁っている。

どうしようかと迷ったが、皆につられて僕も泳ぎ始めてしまった。太平洋岸で育った僕にとって、波がない海というのは不思議な感覚なのだが、流れはあって、仰向けに浮かんでいるとどんどん高松側に流されていく。

山暮らしの本を書いているけど、実は僕は「海っ子」なのだ。生まれの水戸はいちばん近い大洗の海まで20キロもない。父の実家は日立市で久慈浜という海まで歩いて行けるほど近く、夏休みは泊まりに行き、海三昧の日々を過ごしていたものだ。だから、この歳になっても海が恋しい。少年の頃の記憶がよみがえっていく。

やがて夕日が直島に落ちる。見たことのない静謐な海だ。印象派モネの絵画を見ているようだった。男木島のすばらしいところの1つは、大きな集落は島の西側にあって夕日が望めることである。

ドリマの上に戻って五右衛門風呂に入る。これがまた素晴らしく、浴槽はなんと琺瑯なのである。琺瑯は直火ができる。下で直接火を焚いているのだから底は熱い。五右衛門風呂の場合、普通はスノコを沈ませるのだが、ここではハーブやヒノキのかんなクズを入れた座布団をずぶずぶと沈ませ、その上に座るのである。極楽である。上がりに水浴びして体を冷やすといいと小林さんに教えられ、それがまたよかった。

そして宴会。刺身と島の自然菜園の野菜たち。

今回、スタッフとして大活躍してくれたN先生が自家製のピチット干物をもってきてくれた。漁師M君が獲ったマナガツオである。これが絶品なのであった。

この日の磯で採った海藻ツノマタの茹でたもの。ツノマタは確か漆喰塗りの糊分補充に使われる海藻。

手巻き寿司の具はいろいろあれど、今日の磯で採ったムラサキウニできまり!

コアな人々が集まり、熱く深い話が飛びかう男木島の一夜であった。イベントや講演はいつも不安で、どうしてこんな面倒なことをやっているのだろうか? という思いにいつも苛まれるのだが、終わってみれば「ああ、やってよかった・・・」とまたいつも思うのである。今回はその感がさらに深い。

参加してくれた皆さん、スタッフの方々、協賛の西村ジョイ様、ありがとうございました!


「男木島・講演&木工ワークショップ」への2件のフィードバック

  1. 古民家ダイニング道満の片岡和美です。
    男木島でのワークショップでは大変お世話になりました。一日目二日目と、濃い中身に目が開かれることが多くて、参加させて頂いて本当に良かったと感謝しております。お忙しいとは存じますが、いつか佐用にもお越しい頂けたらこんなに嬉しいことはありません。その前にまた次回のワークショップ参加狙っています。次のご本も楽しみにしています。お身体ご自愛ください。

    1. ありがとうございます。私もみなさんとお話しできて楽しい二日間でした。次回は囲炉裏づくりでワークショップができるといいですね! まあ、ドリマは泊まって食事するだけでも面白いですから♬ 本ができたら佐用にもぜひ行きたいと思います。ご主人様にもよろしく。

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