アトリエ敷地で水脈整備


家の2階からの眺めである。以前この敷地約半分は隣の保育園の駐車場として使われていたので、かなり締め固められている。残り半分、パルテノンのある家の後ろ側はほぼ荒地で、クズやカヤやセイタカアワダチソウなどが茂る薮になっていた(今は畑敷地に開墾した)。

家を建てたとき周囲の植栽や塀や柵などの外構部には手をつけなかった。予算の関係もあるが、植栽や作庭のイメージが湧かなかったこともある。「建築は植栽とアプローチと一体のものである」と高名な建築家たちは言うのだが、私はその土地と対話しながらゼロから造ることにした。

ここはいつも車を置いている場所。雨だったので、水たまりがよく確認できた。これまで学習・体験してきた矢野さんの水脈整備を真似て、溝を掘って排水を促すのをやってみることにした。雨具を着て庭に出るなんて初めてのことである(笑)。

移植ゴテはノコギリがまと同じくまたしても紛失。剣スコップも奈良の講座で忘れてきてしまったので、ひとまわり小さな剣スコ購入。それで掘っていく。

敷地は保育園のほうに下がっている。水たまりが2カ所あったのでまた掘った。

水が流れていくのを確認しながら、サクサクと下流側に掘っていく。この作業はまるで幼稚園児の砂遊びのごとくだが、本能が喜ぶというのかすごく楽しい。

車をターンさせる時にタイヤのねじれも加わって、2つの水たまりができている場所。

まず草刈りして、ツルハシでうがいてから剣スコで水みちを掘る。

振り返るとこんな感じ。

終点はコンクリートをぶち抜いて保育園の側溝に落とすと理想的なのだが、まさかそんなわけにもいかず、点穴を掘る。

実は点穴(赤丸)に至るまでの途中に、塩ビ素材のマットが埋め込まれている(赤矢印)。保育園に駐車場として貸していたときに、雑草避けとして被せられたのである。これがまた通気・通水を邪魔しているのはまちがいなく、この一帯の緑のベルトが単子葉植物イネ科のチガヤで覆われている理由がわかる。

左右の水たまりからも堀をうがつ。そして刈り草でグランドカバー。これは泥を出す草も生えない無味乾燥な敷地に、有機物を置くことで回復のための小さなきっかけとなる。

どうせならもうちょっとやるか! パルテノンに置いてある炭と竹を持ってきた。

点穴に竹と炭を追加♬

グランドカバーにも炭をばらまく。

炭は多孔質で微生物の住処になり、日照りでも保水力を高め、植物の生育を呼び込む格好の素材である。

作業は1時間半。けっこう汗だくになった。バルコニーの上からの眺め。たったこれだけのことで、敷地の水や空気が流れ、変わり始めるということが、いまの私にははっきりと解る。

この地はもともとyuiさんのお爺さんの所有する土地で、隠居後はここで畑や釣りをしたり(前の保育園の敷地は元ため池だった)していたそうだ。今日はそのお爺さんの二十五回忌だった。午前中、住職とともに読経し、昼はご家族と会食を共にした。

格好の雨をお爺さんが与えてくれたのかもしれない。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください