大地の再生講座@奈良(3)/枝・葉まで余すところなく


翌朝は雨。それにても水が滴る急峻な盆地である。美しい風景だが、いたる所に危機が迫っている感じがする。

昨日、主催者と矢野さんに呼ばれて一緒に見にいった崩壊地。駐車場から会場までの途中にある法面なのだが、基盤整備で田んぼを大型化したために、無理が生じているのだ。本来ならば、低い法面で小さな棚田が連続していた所なのであろう。ここをまたコンクリートで塞いでしまったら、水と空気の出口がない。スギ・ヒノキの間伐材がいくらでも手に入る地域なのだから、「丸太組み」で土留めするのが良いのでは? とアドバイス。

朝食。味噌汁と漬物が美味しい。

2日目、参加者が増えた。今日初めての人だけ自己紹介。

昨日の続き。基本的に法面の下部に圧がかかり、ここで空気や水が停滞していることが多い。掘るだけで水が法面側から湧き出す場所まである。

これを透水パイプで移送し、かつ地面に浸透させるのが「通気浸透水脈」だが、一般土木なら集水桝を作って塩ビ管などで暗渠にしてしまうところだ。矢野さんのやり方は相当にファジィで自然親和型である。

管の上にかぶせる竹は、上からかかる泥から管を守り、流水を導くガイドの役目もする。竹炭は乾いたときに保水の役目をし、多孔質で微生物のすみかになる。合成素材のパイプは有機的ではないが、溝の中で確実に通水を確保するという点において、このような水の多い地滑り地帯では必須の素材であろう。

さらに上に被せられる竹や木の枝葉は、通気・通水性を持ちながらグランドカバーとなり泥漉しにもなる。全体として微細な空間に満ちており、結果的に小動物から昆虫・微生物までをたっぷりと住まわせる場所を創造している。

矢野さんのユンボの動きに注目する参加者たち。

上のヒノキ林との間にアスファルト舗装の道がある(これがまた通水・通風を遮断している)。そこからも材料を下ろす。

この「通気浸透水脈」のすばらしいところは、竹でも木でも枝葉まで余すところなく使えるところだ。薪だけ欲しい場合には、細かい枝葉はゴミになってしまうのだが、それらが必要不可欠の素材なのだ。竹の枝などかさばるだけで、これまで使い道があっただろうか? 田舎ならこのような素材は手入れの名目で簡単に入手でき、かつ喜ばれる。

昼は本格的なインドカレー。朝から仕込みの匂いがぷんぷんしていたので楽しみにしていたのだ。美味しくておかわり続出。

(続く)


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