讃岐の水やり/その2


先日の夕刻、蜂の「継ぎ箱外し」の帰り、農道を走っていると老農婦が小さなイチジクの樹に水やりしている姿を目撃した。水といっても水道のホースで散水しているわけじゃなく、据え置きの大きな漬け物樽に溜めた水をヒシャクで与えているのだ。

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この道は勝賀山の中腹をほぼ等高線に添って横切る農道で、道の上下の斜面は一面果樹園が広がっている。夏の散水は必須らしく、各農園には様々な水貯めを見ることができる。

が、漬け物樽とヒシャクで水やりするのは初めて見た。散水ホースが届かない場所はこのような水槽で雨水を貯め、フタをして保存し、最も土の乾く梅雨明け後の夕刻に水を与えるのだが、私は何か恐ろしいものを見たような、胸に刺さるような衝撃を受けた。

春に勝賀山に登ったとき、最上部の果樹園で様々な貯水槽を思わず撮影してしまった。サクラも美しかったが、これらの水貯めは私に讃岐の風土と農の厳しさを無言で語りかけてくる。

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上はユニットバスのバスタブだが、最初の老農婦のものは果樹園で使うにはさらに最小のモノであろう(畑ではさらに小さいプラスチックのオイル缶を並べているのをよく見る)。

東かがわの山間部にあるGomyo倶楽部のフィールドを15年に渡って守り続けてきたHさんの原動力はもちろん溜め池の水生昆虫保護にあるわけだが、もうひとつ彼を駆り立てたことに「壊れた田んぼを守ろうとする農夫の姿に感動した」というようなキーになるような話を聞いた。

台風で破壊された水路と田んぼを黙々と人力で手直ししている老農夫の姿に「崇高なものを感じた」のだという。私もその気持ちは解るような気がする。

今日は36度まで気温が上がり、連日一滴の雨も降らな日が続いている。夕刻、私もイチジクなど庭の木々に散水することにした(今年は長い散水ホースを買ったのである)。

讃岐の水やり


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