丹下健三を読み終えたのが12:30。確定申告・Gomyoの書類と、yuiさんから引き継いだ事務仕事2つを終えたので打ち上げしたい気分。多度津・富谷、2時までの営業だが、まだ間に合うかな? ともあれCDをかけながら車を出す。
13:15に到着。またしても主人調理目の前のカウンター。今日はお客さん5割り程度の入り。「塩そば」の小700円と「焼きめし」少なめ300円を注文。主人は寡黙。焼きめしは例によっておばちゃんの担当。
まず「塩そば」が来る。黒い油「マー油」が浮かんでいる。スープはすごくいい。チャーシューは2枚。前回のチャーシュー麺がけっこうな量だったので物足りない感じがする。
次いで「焼きめし」到着。こいつはちょっと・・・だった。ほんとに田舎のオバちゃんが作るってタイプ。卵がご飯に一体化していなくて、やわらかなチャーシューがつぶれてぐしょぐしょになっている。なにより化調がキツイ。
だから焼きめしを食べてしまうと、塩そばの繊細なスープの旨味がわからなくなる。次回は白ごはんにしよう。そしてやっぱり醤油味のチャーシュー麺だな。
帰りは久しぶりに五色台を廻る。丹下健三の本にも出てきた「瀬戸内海歴史民俗資料館」に入る。ここは何度も訪れている。入館場料がタダなのだ。まず外観がすごい。ここで出た石を割って積んである。コンクリートの肌を積み石で覆っているのだ。
中はスキップフロアーで繋がれたハコを巡回するような形になっている。1973年竣工。設計は香川県の建築課、山本忠司による。75年に日本建築学会作品賞、2012年にはDOCOMOMO(ドコモモ)に選定された。
初期はコンクリートの大小の建物に直線的なコンクリートの軸線が貫くような案だったらしいが、山本は設計途中でイサム・ノグチのイスラエルの旅に同行し、途中立ち寄ったルイス・カーン設計のインド経営大学に強い印象を受け(現地産のレンガを積んでいる)、イサムの助言もあって現在の形にまとまったそうだ。
石積みはイサムの協働者でもある和泉正敏。山本忠司は庭園美術館の「イサム家」の移築設計にも関わっている。さて、内部はつめた〜い感じのコンクリート打ちっ放しなんだけど、上質な木も使われていて、なによりトップライトが効いている。
今回新たに発見したのはトイレの丸形トップライトの効果だ。ホントに、蛍光灯をつけているみたいに明るい。まるでコルビュジエのラ・トゥーレット修道院だよねw。
筒はかなり奥行きがある。
展示物は毎回同じものを見ているはずなんだけど、私が常に進化しているのでその都度新しい発見があって面白いんだな。今回、目に止まったのはこれ。ため池の水を抜いて干したとき魚を捕る道具。イタギという。
泥の中の水たまりに集まった魚はひと塊にうごめいているから、この道具を泥に突き刺して、上の穴から手を突っ込んでわしづかみする、というもの。それから豊島石のカマド。これを見るためにわざわざ豊島に渡ったことがあるのだが、見逃していたのかな、展示替えで出てきたのだろうか?
このフォルムがたまらないね。
このカマド、江戸期には大阪あたりでけっこう需要があったらしく、寛政十一(一七九九)年の「日本山海名所図絵」↓にも描かれている。この絵では灰がたまって火箸がもたれている。薪ではなく炭を使っていたのかもしれない。
屋上からの展望は抜群である。yuiさんとここから眺めた日のことを思い出す。
帰りに根香寺に寄った。本尊は千手観音像で三十三年に一度の開扉という秘仏。次回は2030年だそうだ。このお寺は八十八カ所霊場のうちアトリエから最も近い。もちろん見に行くつもりだが、生きていれば私は70過ぎのジジイになっているw。