丸亀市の工務店「㈲アンシング・ホーム」のホームページがリニューアルされた。この囲炉裏暖炉のある私のアトリエも、コンテンツ「当社施工物件」の中に「大内邸」として写真が公開されている。
この会社は私の大学時代の後輩が社長をしているので、今回の家づくりではずいぶん注文をつけ、無理をきいてもらったが、社長にも四国の地元材を使いたいという思いがあり、その一点の一致は大きかった。
私は若い頃から林業に投入してきた思い入れがあるし、木材と家づくりの研鑽も積んでいるから、譲れないところはいろいろあったが、現実には妥協せざるを得ないところもある。その折り合いをつける中でいろいろな発見があった。
讃岐の職人さんはみな誠実で腕の立つ人ばかりで、とくに木の選択と使い方や、細部の納まりは学ぶところが多かった。結局、昔ながらの合理的な納まりを守っていくと、必然的に美しい空間ができてしまう。
だが空間的な配慮は大事である。彫刻を創るように、身体的に把握する。私が設計上で変更を求めた箇所は、細かいところまで入れると30箇所以上にも及ぶ。また、家具類は最初から決めずに、余白を残しておき、できた空間で暮らしながらじっくり配置していったのも正解だった(DIYができる人はとくにそうである。いまはインパクトドライバーで簡単に作ることができるのだから)。
実際に暮らしてみて1年半経過しているが、「スギと漆喰を使って本当に良かった」と心底思っている。スギの木のやわらかさと温かさ、そして漆喰の美しさと呼吸する感じがたまらないのである。
残念ながら、ほとんど多くの新築はコスト高を理由に化学建材を多用し、24時間換気をしなければとても住めないような家になっている。家具もまた100パーセント無垢材ということはありえず、疑似木の技術精度が上がっていることもあってよく見るとプラスティックなのである。
結局、家を建てようとする施主が自然素材の家の良さを知らないということに尽きる。また、自然素材の家を造るグループのものは徹底的にこだわりすぎるあまり敷居が高くなって一般的な施主は近づけなかったりする。
実際、日本の地方の工務店の腕は精緻な木造ができるレベルを保持しているのだから、実にもったいない話なのである。新素材と自然素材とをうまく使い分ければいいのだ。スギ・ヒノキは日本の山に充満しているのだから。
いま、工務店と施主との間に、木の家を具現するためのアドバイザーやコンサルティングが必要なのを痛感する。というわけで、私は「アンシング・ホーム」のアドバイザーを手伝うことにした。全国区というわけにはいかないが、香川近県で自然素材の家づくりを検討している方は、ぜひお声をおかけください。