洗剤はいらない


集落の道普請というか、草刈りの集まりの日だった。元、小学校の分校の建物周りを整備する。草刈りも大切なのだけど、いちばん大切なのは、雨水・排水の水まわりですね。校舎の背後の石垣の下から水が吹き出している。長老のイタルさんがその排水路を黙々と掃除している。水の流れを滞らせない。これが傾斜地の山村において、敷地・建物と長らく付合う要(かなめ)なのですね。

石垣も、畑も、家周りも、この水周りをまず整備する、これが絶対なのです。水はおとなしいときは優しい友なんだけれども、敵にまわすとそれは恐ろしい。ちょっと水路を掘ってやるだけで、ずいぶん建物への被害を回避できるんだよね。

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年寄りがあつまる中に、新参者の僕らが放り込まれる集合作業は、かなりの緊張をともなう。しかしチャンスでもあるのだ。年寄りたちの身のこなし、目のつけ所、道具の使い方を観察できるからである。さりげなく昔の話しを聴くことができるからである。この、「さりげなく」というところが大事なのだ。

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分校の中にスミナガシが入ってきた。この頃、このチョウを見ることは少なくなった。食樹はアワブキ。和名の由来は羽の紋様が「墨流し」の流紋に似ることによる。このチョウの一大特徴は、口ふん(ゼンマイ状の口からのストロー)の色が鮮やかに赤いことである。

土砂降りの後のものすごい晴天だった。水源のオーバーフローの水がごぼごぼ音をたてて流れてくる。僕は作業後の汗にまみれたシャツを外の流しで洗い、手でしぼって木に渡したロープにぶら下げた。2~3時間ほどで乾いてしまう。洗剤も何もいらない。

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