ホテルから講演先の水戸市立梅が丘小学校まで車で15分ほど。途中公園で音合わせと声出し。学校へ着くと電話で応対してくれていた教頭先生と担当のG先生が出迎えてくれ、校長室へ案内される。校長先生は僕の母校である水戸一中で10年教鞭をとっておられたそうで、僕の実家や父のことをよくご存知であった。
梅が丘小学校は地続きで「どんぐり山」と称する雑木林を管理している。講演の前に校長先生みずからそこへ案内してくださる。カブト虫の養殖もしているし、コクワガタなんかはずいぶん見つかるそうだ。巣箱もかかっている。周囲が宅地・商業開発が進む中で、貴重なオアシスになっている。ここでの子どもたちへの環境学習の取り組みは高く評価され、今年の茨城県での植樹祭では教育部門で表彰もされた。
講演は体育館で。全校生徒900人という水戸市2位のマンモス校で、全員いちどにはムリなので1~3年生、4~5年生の2回に分けて行なうことになっている。子供たちにタマリンソングをぜひ歌わせたいとのことで、あらかじめCDを送って練習してもらっていた。
1~3年生には「自然と生き物」(子供の頃、水戸で育ちながら昆虫と触れ合った思い出、自然の中に様々な美や仕組みがあることを教わった。紙芝居の導入として話す)。4~5年生には「自然の営みと人々の暮らし」(森が好きでいま森に囲まれて自然の中で昔に近い暮らしをしている。その何が楽しく面白いのか? そんな自然の暮らしの感動を前ふりとして)という趣旨で話し、紙芝居を見てもらった。
どちらも熱心に聴いてくれ、最後の質問コーナーも元気な声の質問がたくさん飛び出した。圧巻はタマリンソングの大合唱だ。450人づつの生徒が一斉にあのリズムと歌詞を歌えるのか? と心配だったが、子供たちは見事に歌いきって、僕のギターだけの伴奏でもほとんどぶれることがなかった。
教室でCDを聴いて毎日練習していたそうだし、父兄の話では家でも練習していた子がいたそうだ。講演の後はそれぞれ生徒代表の「お礼の言葉」、最後は校長先生のお話をいただいて無事終了。
校長・教頭両先生は、昨年11月茨城県グリーンフェアでの僕たちの講演ライブを聴き、今回の「芸術家派遣事業」に僕たちを組み込んで下さったそうだ。子供たちの純真さ、それを支える先生方の熱心さ、故郷の水戸にこんな学校があることが嬉しかったし、ここで講演できたことを誇りに思った。「給食を食べていってくれませんか」教頭先生に言われてごちそうになる。「歌に感動しました。子供たちもいい刺激になったと思います」とM先生。
大役を果たした気分でコペンに再び乗り込む。水戸市内でいくつか用事を済ませて北へ。今日の宿は、北茨城の海岸にある民宿。明日は僕の創作のルーツである花園山へ相方を案内する。