しばらく天気が続いたので、畑に出て白インゲンと小豆の収穫。豆のサヤは全部がいちどに茶色くなるわけではなく、まだ緑色のものもある。かといって、全部茶色になるまで待つと、先に枯れたサヤのものが割れて中の豆が落ちてしまう。それで間隔をみて枯れたものから順々に収穫していくのだ。ついでにホウレンソウの間引き。カブ、ネギ、ミニトマトの収穫。
ホウレンソウはよく育っていて味もすばらしい。肥料は木質堆肥と木灰だけだ。鶏糞を施した他の畑を観察すると、株が大きいものの虫喰いがひどい。ネギもまた、化成肥料と鶏糞をやった他の畑では、黒いアブラムシに悩まされてたりしている。アトリエの畑でほとんど無肥料で育てたネギは、太さはないけれども元気で美味しい。ホウレンソウの根の張りが強くて、間引くにも簡単には引き抜けないのだ。
相方はカキの採取。僕がむかし使っていた昆虫採集用のつなぎ竿で、捕虫網の根元にY字のカシ枝をつけてそれでねじり取り、ネットに入れていくのである。これで70個近いカキを取った。囲炉裏ばたでそのカキを干し柿に仕込んだ。皮をむいて、藁縄でヘタに残した枝部分をはさみ込んでいく。炎を眺めながらこんな作業をやっていると、すごく幸福な気分だ。
夕刻は囲炉裏で「おきりこみ」をつくる。根菜やら豆やらを煮て、そこに打ち粉のついたままのうどんを入れて煮込む。味付けは味噌で。米のとれないこの地方で毎日のように作られていた郷土食である。野菜と豆の味が深いので、ダシはいらないのである。