昔から山と高原、そして渓流が大好きであった。僕の生まれの地、茨城県には高い山はなく、渓谷と呼ぶにふさわしい川もない。山深い長野は、子供の頃から憧れの地であった。
草津から白根山を抜けて、南志賀高原へ。そして信州上田へ行ってきた。ほんとうは南志賀の温泉へ日帰りの予定だったのだが、あまりにも天気がいいので、上田へ一泊。上田城跡や別所温泉へも足を伸ばしてきた。
南志賀高原の山田牧場へ抜ける道は信州の高原らしくて本当にすばらしい。ここは2000m級の山を抜ける道であり、今が新緑真っ盛り。温泉は道沿いにいくつかあるのだが、松川渓谷温泉「滝の湯」へ。硫黄泉の掛け流し。なかなか効いた。露天は混浴である。
上田は旅の途上で2度ほど通過していたのだが、とても気になる町であった。時代小説「真田太平記」の舞台であり、その作者、池波正太郎がこよなく愛した地だ。記念館もある。ここで挿画家、風間完の原画が見れた。上田城跡を歩き、市内の川沿いの古い蔵が残る通りを散策した。
イキアタリ旅の泊まりはやっぱり安いビジネス。上田は美味しい食べ物屋が残る町。いつまでもこのままでいてほしいな。
上田からすぐ近い別所温泉。国宝の塔を見に行く。静かに佇む古刹と思いきや、出ました平成のジジババ大集団。あたりかまわずつんざくような大声、酒臭い吐息と、強烈な化粧や整髪剤のニオイ。うう・・・。外湯は真田ゆかりの「石湯」が有名なんだけど、僕らは「大師湯」へ。150円。ここも源泉掛け流しである。
温泉街を、明日の予定を気にすることなく、のんびり歩くなどということは、僕のこれまでの人生では考えられなかったことだ。ヤマボウシの花がまばゆく咲いていた。